2009-12-30

深雪のカントリーロード

【今日やったこと】

PCR

ひたむきに。

◇◇◇



忘年会が終わり、クリスマスが過ぎて、世の中が一気に年末モードに入った。

研究室にいると、全く季節感がないので、今朝、家を出がけにテレビを見て、帰省ラッシュが始まりました、と言うフレーズを聴くまでは、全然そんな実感が湧くことがなかった。

でも気がついてみれば、車の通りはいつもと違うし、研究棟の建物の中も、いつもと違ってひっそりとしている。

今日はまだ、午後遅くになって、数人の後輩が研究室に来たけれども、帰りがけ、皆口々に「良いお年を」と言って去っていく。

もう今年は来ませんよ、と言う意味のようだ。

かくいう自分も、今日から、正月五日まで、休む計画でいる。
正直、研究計画は年を追うごとにタイトになっていて、気分的には休んでいるような気分でもないのだが、ここ最近PCRとFACSばっかりやっていて、単調すぎてなんか頭がパンクしそうだし、いい気分転換にはなるかも知れない。

例年は飛行機でぱっぱと帰るのだが、今年は電車にしてみた。
年末の飛行機は、割引がきかないので、値段的にはむしろ安い。

時間はかかるが、夜行列車には乗れるし、真冬の早朝の青森を列車で駆け抜けるなんて、滅多にないだろうし、何より、乗ったことのない新幹線の“はやて”にも乗れる。ちょっとした冒険気分だ。

さて、どんな正月になるか。

まあ、大抵、二日酔いで、元旦から寝込むのがオチなんだけど。

2009-12-26

ウタゲの後/腹痛前夜

【今日やったこと】

PCR。

あるの?
ないの?

はっきりしなよ。
◇◇◇


研究室の忘年会が先週あり、例年どおり盛大に執り行われた。

この研究室は、それなりに歴史のある研究室のためか、毎年、すごい数のOBが忘年会には来訪する。そのため、現在所属する学生は、必死になって飾り付けやら、食料の準備やらに走り回らなければならない。

去年は研究室の引っ越しのため、忘年会はなかったのだが、今年は、引っ越して最初の年と言うことで、OBの先生も来たがっているだろうし、例年通り挙行しよう、と言うことになった。

「何人分の食事、準備しましょうか。」
「とりあえず、50人分。」

そんな会話が取り交わされる、規模の大きな忘年会。

さて、いざ準備して、会が始まってみると……。

「……今年、少ないですね」

会が行われたのが月曜日と言うこともあってか、例年の半分ほどの人も集まらなかった。
それでも、内輪の人間だけで20人前後はいるので、それなりに、今年も楽しい忘年会になった。

しかし、困ったことに、例年通りの大勢のOBを想定して買い込んだ、大量の食料が残ってしまった。食料達は、実験用の冷蔵庫にまではびこり、新しい試薬を置くスペースまでも占有し、冷蔵庫を開けると、冷えたピザの匂いが、すうっと、鼻腔奥を突く。

「……どうしましょうか、これ。」
「……食うしか、ねえだろ。」

ノルマを決めようと言うことになっている。

当然、冷えたピザを何枚食べるかと言う、ノルマである。


そんなノルマなら、ない方が、いい。

2009-12-19

寒さ・対策

【今日やったこと】
PCR。

テンプレートにする細胞を100個集めるのに、6時間もかかったなんて、
話しをすればみんな笑ってしまう。

笑い事じゃ、無いのに。
◇◇◇


新しいコートを着てきた。
北海道に来てから始めて買った、本格的な防寒着。

去年までは、大学の2年位の時に買った古い、分厚いダウンジャケットを着ていたのだが、さすがに時代遅れの感があり、しかも、襟元がすっかり茶色くなってしまって、見るもみすぼらしい様相を呈していた。

アメリカ屋(この店が、何処まで全国区なのか知らないが)、だったか、
なんかそんな感じのジーンズショップで買ったためか、サイズも異様に大きく、着ていると、何かの映画のマシュマロマンになったような、不格好で、気恥ずかしい気持ちになるのだ。

マシュマロマンは、真っ白だから、まだマスコットにもなれるけれど、茶ばんだマシュマロマンなんて、誰が好んで扮装するだろうか。

そんなわけで、買ったのである。案の定、ユニクロで。


ダウンではなく、えせ物のレザーの、しかも裏地はフェイク・ファーという。嘘つきの固まりのようなコート。

でも、これが、着てみるとかなり暖かい。
今まで、半袖Tの上に、長袖Tを着て、Yシャツを着て、セーターを着て、更にパーカーを重ねて、マフラーを巻いていたのだが、この偽レザーコートだと、セーターが要らない位の効果があった。

ただし、フェイク・ファーという言葉を意識する度に、何故か切ない気持ちになり、
何もない雪だらけの夜をひとりでふらふら歩いてみたい気持ちになってしまうので、放っておくと余計風邪でも引きそうな気がしている。







"くちびるをすりぬける くすぐったいことばの
 たとえすべてがうそであっても それでいいと"


切ねえ。

メカニクス

【今日やったこと】
セルソート。
わけられるもんなら、わけてみろ。

◇◇◇


先週、セルソーターの機能の一部が故障しているのに気がついたので、管理している技官さんに相談したら、近日中に、業者の方が来るので、ちょっと待ってくれと言われた。

話によると、その業者の方というのは、技術屋の方ではなく、営業の方なのだが、機械の構造に詳しく、簡単な修理ならしてしまえるのだという。


そして昨日になって、その件で技官さんから電話があった。
先日話した業者の方が来たから、機械の何処に不都合があるのか、説明していただけないか、と言うことだった。

わざわざ行かなくちゃならないんだ、などと、多少の面倒も感じながら、技官室に赴くと、業者の方が、お二方いらした。女性の方と、男性の方。どちらも見たところ若い方で、暗い色のスーツをきちっと着こなしていた。男性の方は、随分と若く、大卒ちょっと過ぎ位のように見えた。機械も直せる、という言葉から予想していた、ツナギを着たスパナの似合うおじさんではなかったので、だいぶ意外に感じた。

女性の方が前に立ち、男性の方はその後ろに控えるように立っていたので、とっさに、この女性の方が上司なのだな、と思った。

「あ、どうも」
僕がとりあえず頭を下げると、二人とも、軽く頭を下げた。

「……早速ですが、あのソーターをどのように使うご予定ですか?」
真っ先に口を開いたのは、女性の方だった。

「……サカナの細胞を流す予定なのですが」
僕がそのようなことを言うと、女性は、

「あのソーターの原理はご存じですか?用途によっては向かない実験もありまして……。一応点検しましたが、どうやら、チューブが詰まっているようで、ちゃんとした修理が必要かと思います」

僕はきょとんとして、その話を聞いていた。
機械も直せる営業さんというのが、この若い女性なのだと言うことがあまりに意外だったので、話しの初めを殆ど聞き逃してしまっていた。

「……ざっくりとしたお見積もりでしたら、数日中に出来ますので、では、それを見てご検討下さい」
営業の女性は、僕と技官さんを交互に見ながらそう言った。
あんまり真っ直ぐ人の目を見て話すので、ああ、この人はやっぱり理系なのだと納得がいった。理系の人間は、自分の専門分野を話す時には、相手の方を見て、ずんずん話すことが多い。この女性からも、同じものを感じた。

こういう人もいるんだ。
そう思うとなんだか面白かった。


圧倒されっぱなしの説明を終え、その話を研究室の先輩に話したら、

「最近、そう言う女の人って多いですよね」
と言う返事が返ってきた。

言われてみればそうかも知れない。
大学のネットワーク担当にも、確か女の方がいらっしゃったし、メカニックの技術を持つ女の人が、思ったよりもふんだんに、世の中にはもういるらしい。

なんかかっこいいものだ。

でもきっと、世の中には、同じくらい確かな数の、機械を全く扱えない男がいるのだろうと想像すると、思わず変な笑いが浮かんで仕方がなかった。

2009-12-10

来訪

【今日やったこと】

FACS。
駄目で元々。


◇◇◇



元の学校のあの方は、昨日お見えになり、
おせんべいと、いつもの笑い声を振りまいて、5分ほどで去って行かれました。

今の私めのBossと再会したのは、実はほとんど30年ぶりらしく、
若い頃の話を興味深く聞きました。

その様子を見ていた、技師のマダムは、元Bossのキャラクターに圧倒され、
「……元気の言い方ですね」
と言っておられました。

ええ。
元気のいい方です。

懐かしさ半分、
私は、少々疲れましたが。

2009-12-05

げげげの

【今日やったこと】
学会から、帰ってきた。

有り余るやる気と、疲労を抱えて。
大阪って、楽しいけど、なんか疲れる。

◇◇◇


学会期間中、お酒を飲み倒したせいか、なんだか、まだ、だるさが残っている。
研究を続ければ続けるほど、知り合いが増えるのはいいんだけど、あっちこっちの飲み会に顔を出したりするもんだから、昨日も、前いた学校の後輩と、三時まで、サシのみしてました。

来週は、前いた学校の先生(そう、あのひとだよ!)

が、いらっしゃるそうな。

「会えるか、わかんない」、とは、メールでおっしゃってはいたけれど、
会うんだろうなあ。たぶん。

私の頭の毛が、数本、逆立っているのを、感じています。

2009-11-28

遙か、スコッチの国より

【今日やったこと】

Facs。

細胞が、流れてく。

◇◇◇


スコットランドからゲストの先生が来られたので、昨日はその接待に追われた。

お昼頃の飛行機で来られるとのことで、まず、自分が空港までお出迎えに行った。
先生方は駅で待っているとのことだったので、空港から駅までは自分がひとりで案内しなくてはいけない。出がけから少し緊張し、そわそわして、いつもより相当早い時間に学校に行ってしまったので、いつも早出の後輩に、めずらしいですね、と言って笑われてしまった。

空港へは、エアポートライナーで向かう。ちょっと早めの列車に乗っていったので、空港で少し待つことになるかなと思っていたのだが、付いてみれば、飛行機の到着が15分も早まっており、自分が着いて30分もしないうちに、ゲストの先生がゲートから現れた。

'Hi!'
彼女はそう言ってまず手を差し出してくださった。
聞いていた話では50歳後半の、おばあちゃん、と言ってもいいような年齢の方のだが、真っ黒いダウンジャケットに、チェックのスカートのようなものを撒いていて、なんだかかっこいい。さすが、スコッチ。チェック柄は世界の誰よりも似合うはず。

「ちょっと、タバコ吸っていいかしら」
挨拶もそこそこに、ジェスチャー混じりで、彼女は言った。
「……飛行機の中じゃ、ずっと吸え無くって」

僕はノンスモーカーだし、空港の喫煙所なんて場所も知らない。

'Excuse me...'と、ことわって、あちらこちら捜して、ようやく見つけた。

「二分だけ、頂戴」
そう言うと、そそくさと中に入って行ってしまった。

すごいもんだ。なんだか解らないが、僕は彼女のエネルギーに感心してしまっていた。
しかし、のんきなジャパニーズが感心する間もなく、彼女はオメガの時計よろしく正確に2分で喫煙所から出てきて、
「さあ!行きましょう」
すっきりした顔をして、そう言った。

荷物を持ちましょうか、と、来る途中で覚えた言い回しで尋ねてみたが、
「大丈夫!、わたしまだ足腰、タフだから」
と言って笑い、そこからは早口で、ここまで来る途中の苦労話などを語っておられたが、ところどころ、どころか、2割も聞き取れなかった。なまじ、英語がしゃべれるような振りをしただけに、彼女のマシンガントークを聞きながら、内心ちょっと後悔していた。変な見栄なんて、張るんじゃなかった。僕の苦笑いにも構うことなく、彼女のお話は続く。

その時は、この先どうなることかと、もうどうしようもなく、心配していたのだが、
幸い、彼女が活動的だったので、駅まで何の支障もなく送り届けることが出来た。

途中、唯一、自動改札にだけは戸惑っていたようだけれど、それもすぐに覚えてしまった。さすが、イギリスからひとりで来られるだけのことはある方だ、と、そんなことでも一々関心した。


ただし、やっぱり気は遣った。駅について、出迎えに来ていた教授らの顔を見た時には、彼女以上に僕の方が喜びの余りビック・スマイルになってしまった。

「……ごくろうさん」
全てを察したような教授の苦笑いとねぎらいの言葉。
どっちが出迎えられたのか、解らない。

その日はその後、彼女と、教授らとデパートの上の方で昼食を取り、半日、研究室巡りをし、うちの研究室で彼女のセミナーを開いた後、自分の研究紹介を5分ほど行って、いくつかコメントをいただいた。さらに、出迎え側の先生の1人がホヤの専門家の方だったので、夜はホヤ料理を出す居酒屋さんでささやかな歓迎会になった。

僕らはみんな日本人らしく、“とりあえず、ビール”と頼んだのだが、彼女だけは、ビールはすぐにおなかいっぱいになるからと言うことで、それには混じらなかった。

その代わり、しばらくメニューを睨んだ後、一升瓶の写真を指さして、
「日本酒、いただける?」
とすました顔でおっしゃった。

かくして、4人の日本人がビールを飲む中で、スコットランドの彼女が日本酒という、何とも、ちぐはぐな飲み会となった。途中、居酒屋のご主人が気を利かせて、エルガー、と言うイギリスの国民的クラシック作曲家の曲を掛けたりしたものだから、日本酒にビールに、ホヤにホッケに、クラシックにしてはノリノリの鼓笛隊みたいなエルガーという、ちんぷんかんぷんな取り合わせになってしまった。エルガーは、たとえば運動会の行進の時に流れる「威風堂々」と言う曲の作曲者なので、名前は知らなくても、たぶん一度はみんな聴いたことがある。とにかく、じっとしていられないほど忙しい曲を書く人だ。

その上、挙げ句の果てに、クラシックの何曲目かで「この曲は、女王の曲だ!」と言って、彼女が戯けて立ち上がり、敬礼のポーズをして見せたりしたので、なんだかエルガー以上にとても騒々しく、そして楽しい飲み会になった。

ちなみに、日本でもテレビを付けたら「オースティン・パワーズ」がやっていたことに彼女は非常に感動していた。
そう言えば、あれもイギリスを代表する、おふざけコメディだったねえ……。







オースティン3作目の冒頭。見たことは無いけれど、なんか、見たことある顔が……。

2009-11-22

『さよなら。いつかわかること』

【今日やったこと】
Midi prep。

多めに増やして、たくさん取る。
ローコピー、ローリターン。
◇◇◇


久しぶりにDVDを見た。
『さよなら。いつかわかること』2007年の映画。ヒューマンドラマ、ロードムービー。主演は、ジョン・キューザック。

ホームセンターで働く父。8歳と13歳の娘がいるが、母はイラク戦争に出征中。
冒頭、父はなかなか二人の娘と心を通わすことが出来ない。ぎこちない朝食のやりとりが何とももどかしい。

家では、戦争のニュースを見ることは禁止。しかし、13歳の姉は、父の目を盗んでは戦死者数を伝えるニュースを見ている。父はそんな娘を叱るが、母がいないということの難しさを彼自身が一番良く感じている。

そんな折、彼の元に突然、軍服姿の二人の男が現れる。
男達は玄関先で彼に、彼の妻が戦死したことを告げる。

慟哭する男。誰もいないリビング、ベッドルームが無音の中で映し出される。大切な誰かがいなくなった、と言うことが胸に迫ってくる演出。

しかし……、男はいつまでも、娘達に母の死を告げることが出来ない。
そのうち、8歳の娘が言い出した一言がきっかけで、数日かがりで、遠くのテーマパークに出かけることになる。

父娘、3人の旅。小さな旅が、親子を次第に変えていく。


たいして大きな事件はない。
でも、それだけにリアルで、さめざめと切ない映画。

大きな戦争の、統計学的な死者数の中に、斯うした割り切れない幾つもの家族の死が伴っていることを、改めて意識させられた話だった。

2009-11-17

パルミラ完結

ようやくパルミラが完結しました。

とりあえず少しだけ救いを持たせたけど、摩訶不思議な話になっちゃったかな。

まあ、新機軸ではあるけれど。


次は、もうちょっとゆったりした話が書きたい。

尊敬

【今日やったこと】

トランスフォーム。
あり得ない大腸菌を創造すること。

混ぜて、振るだけで、すぐ。

◇◇◇


偶然見つけたブログに、なんか尊敬を感じてしまったので、引用。

志村けんのブログ

なんか、かっこいいな、こういう大人。

2009-11-15

失敗

【今日やったこと】

ひとつ、うまくいってないテーマの原因究明。
犯人を捜したところで、不毛な捜査。


◇◇◇


今日の実験を早く始めたかったので、昨日は早く寝るつもりだった。

しかし...。寝かけにふとテレビを見ると、いつか見た洋画の
「オースティン・パワーズ」が放送されていた。

その内容のくだらなさは、一度見て、よく知っていた。

イギリスの誇る、おふざけの、ばかばかしい、シモネタ満載の、そんな、コメディなのだ、と。

でも...。
見てしまったのだ。結局。

気がついたら、朝四時。

馬鹿なことをした。

おかげで今朝は、寝過ごした。
恐るべし、オースティン。

彼の“モジョ”は、確かにすごいらしい。

2009-11-13

アイデア

【今日やったこと】

実験の谷間。

久しぶりに、ゆとりのある日。


◇◇◇


ぼんやりしていたら次の文章のアイデアが浮かんだので、覚え書き。


『城』

とある県。海浜にあるテーマパーク、「ズーニーランド」。
主人公はそのテーマパークのすぐ傍の海辺に住んでいる。

ズーニーランドのシンボルである、白い城の見える海辺で、彼は砂浜に打ち上げられた漂着物
を拾い、アートを作ろうとしている。

ズーニーランドには、未だに行ったことがない。
思えば、そう言うものとはずっと無縁だと思っていたし、実際今でも無縁だ。

いつも見える城。そこに行ったことのある、ごく普通の人々との会話。
世間から浮いた生き方を続けてきた、自分。

浜辺のアトリエで、静かな生活を送っていた彼の元を、旧知の友人が尋ねる。
2日間の滞在の中での、彼と彼女とのやりとり。

変わってしまった生活。流れていくような人生。変わらない城、夢のかたち。
彼と彼女の前に、変わらない城はいつまでも、遠く渚の向こうに聳え続ける。


---
カフカの『城』という、シュールな小説を読んだ後で、
研究室の後輩が、「ディズニーランド」は夢を金で買う国だ、と言う話しをしていたのを聴いて、何となく浮かんだイメージ。

描き上げられるかわかんないけど。暇な時にまた書こうかな。

しゃべるチンパンジー、ヒト。

【今日やったこと】
プライマー設計

やり直し。計6遺伝子。

まあ、やってみなければ、解らないことだしね。

◇◇◇


たまには研究者(依然としてタマゴ?)らしく、
気になった論文から。


細胞:言語の進化 (nature highlight)
転写因子FOXP2は、ヒトの発語に関係することがこれまでにわかっている唯一の遺伝子だが、対応するチンパンジーの遺伝子とほとんど違いがない。新たな実験で、FOXP2の下流の転写標的の活性化にはヒトとチンパンジーで違いがみられ、この差は両者のFOXP2にあるアミノ酸2個の違いから生じていることが明らかになった。各FOXP2が影響を及ぼす遺伝子ネットワークの相互作用の違いが、チンパンジーとヒトの脳にみられる対照的な遺伝子発現パターンに反映されている。これらのデータは、ヒト系統で起こったFOXP2の進化上の変化がヒトの脳の発生や中枢神経系の病気に直接影響し、また、ヒトの言語回路の発生に極めて重要な役割を果たしている可能性があるという説を裏付けている。


つまり、たった2残基のアミノ酸の置換だけで、ヒトとチンパンジーの間の言語能力の差が出来てしまったかも知れない、と言うことらしい。

ヒトとチンパンジーのゲノムを比べても、遺伝子の99%は共通と言うし、こういう小さくても、ファンクショナルな差が、幾つも積み重なって、目で見て明らかな違いが産まれているのかも知れない。

まあ、ヒトとチンパンジーが明らかに違うなんて思っているのは、人間だけかも知れないけどね。

2009-11-07

思いこんだら、試練の道を……。

【今日やったこと】

蛋白精製。

あふれかえる、尿素の中で。


◇◇◇


再び、裏サイトで計画進行中。

英語特訓計画。

とりあえず、表現できるようにと言うことで、
好きなバンド(大抵はThe Beatles)の英語の歌詞を日本語にして
英語を勉強した人がいたくらいだから、好きなバンドの(大抵はSPITZ?)日本語の歌詞を英語にしてみようと試みております。

とにかく、二年以内に、どうしても留学したいんだよね。

だから、少しずつでも。

詳しくは言うに及ばず、プロフィール画面から。

目指せ、TOEIC 750?


2009-11-03

いい報告

【今日やったこと】

ウェスタン。
妹と長電話。

気がつけば一時間。

飛行機載ってれば、東京に届く時間。


◇◇◇


そう言えば、すっかり報告が遅れていましたが、
研究費が下りたので、来年度から、お給金が出る事になりました。

ようやくこれで、私も、人間に近づけます。

あんまり嬉しかったので、学部の時から着ている、リネンのオレンジ色のワイシャツをひとつ処分して、新しいのを買ってしまいました。

袖口に大きな引っ掻き穴が空き、いつかのCBBのブルーの飛沫の跡が、できそこないのニューヨーカーのジーンズの太もも辺りよろしく下側から腹の辺りにかけてうっすらと見えており、それを未だに日常着る服としてローテーションに加えていたことが、見捨てた後では疑われるほど、散々たる有様でした。

ついでに、札幌にいながら、防寒着が、パーカーしかなかったので、もうちょっと厚手のものも買いました。

どっちも、ユニクロで。

決して高いお金がもらえる訳じゃないけれど、自分の好きな研究をして、生活が出来るというのは、すばらしいことです。


ああ、長い、三年間だった。

After こがらし

木枯らし後、夜明け前。

すっかり黄色も落ちました。

2009-10-31

うーん

俺を絶望に追いやるのも研究なら
俺に希望をもたらしてくれるのもまた、研究なんだ。

だとすれば....。


自ずと、道は決まってくるのかな。

僕は

幸せになりたいわけじゃなく、ただ前に進みたいだけなんだな。

2009-10-29

英和辞典

【今日やったこと】
ELISA。

ネガティブばっかり。
絶望があらかた飛び出した後、希望の粒は、残るのか?


◇◇◇


英和辞典を見ていて。
"notion"と言う単語の項。

notion



1 (…の)概念,観念;考え《 of... 》;《主にno, any, someの後に用いて》(漠然とした)理解,(…という)認識,感じ《 that節,of wh-節 》
the ~ of law  法の概念

2 (妙な,漠然とした)意見,見解,信念;(…という)考え《 that節 》
Such is the common ~.  それが世間の通念だ

He has a funny ~ that this planet will be invaded.  彼はこの惑星が侵略されるという妙な考えをもっている.

どうして、こんなfancyな例文にしたんだろう?

2009-10-27

思わず

朝方の紅葉に感動。北大のイチョウ並木。

曇り空だと意外に映える。

――奥山に紅葉踏み分け鳴く鹿の声聞く時ぞ秋は悲しき

猿丸大夫

百人一首で、唯一得意だったっけ。

ポッドキャスト

【今日やったこと】
FACS。

HeLa細胞を。
50年近く昔、これは、ヘンリエッタさんの身体の中にいたのだと思うと、
なんだか不思議。

◇◇◇


最近、英語の勉強をしようと思って、ポッドキャストを使っている。

要するに、いつも使っている携帯プレーヤーに、音楽ではなく、音声のファイルを入れて、ずっと聴いていようという作戦。

効果はいくらあるか解らないけれど、意外に英語学習用のポッドキャストが多いのにビックリ。

...みんな考えることは同じみたいだ。


・ネイチャー・ポッドキャスト
何言ってるかわかんないけど、司会の二人の会話が、楽しそう。
科学系の単語が多くて、ある意味、重宝。
・English as a Second Language Podcast
英語をゆっくり話してくれる、英語学習用。第二言語として、英語を勉強しようという人向けらしい。

2009-10-25

世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド

【今日やったこと】
ELISA。

いつも仲良しで、いつも見つめているけれど、別に、彼女じゃないよ。
青い目をした……。

いや、青いOD405の色素の……。

今日も、微笑んでは、くれないの?
◇◇◇


村上春樹の小説を久しぶりに。

この人の小説は、感情の針が振れっぱなしの悩み多き思春期に「ネジ巻き鳥」を読んで嫌悪感を感じて以来、ずっと遠ざかっていたけれど、今改めて読むと、やっぱり、現代最高の日本語を使う作家だと感じる。

シーバス・リーガルとか、フォア・ローゼスとか、ウィスキーがたくさん出てきて、大人の雰囲気があるのも好き。伊坂幸太郎にも、似たような趣味が小説に出てくるけど、彼のそうした趣味が、若者の、些かくたびれた空気を纏っているのに対して、村上春樹のは彼のものより、ずっとしゃなりとした印象を受ける。伊坂幸太郎の小説には、スーツより、パーカーとジーンズの方が、ずっと似合いそうだしね。

長い本だが、一気に読めてしまった。
その辺も、この作家の力量か。

ただ、昨夜はおかげで睡眠不足だった。
昨日読み始めた下巻を、何とか最後まで、今朝方までかかって読み切ってから、
シーバス・リーガル、とは行かないが、ブラック・ニッカを飲んでさっさと寝た。

2009-10-20

“マンデラの名もなき監守”

映画“マンデラの名もなき監守”をウェスタンの待ちの間にDVDで見た。


舞台は南アフリカ。ネルソン・マンデラは政治犯として孤島の刑務所に収監されていた。
地元黒人の言語コーサ語を話せることから、マンデラの監視係として任命された男は、彼の人間としての魅力に触れ、次第に考えを変えていく。

20年を超える長い物語。
マンデラの戦いは、当に時代との戦いだったんだなあと、痛感した。
無駄に泣いてしまった。

その勢いで、彼の大統領就任演説の一部をネットから拾ってきた。
日本人には馴染まない表現もあるけど、とにかく力強い。

これだけ語れる政治家、この国には、いないよなあ……。


"Our deepest fear is not that we are inadequate. Our deepest fear is that we are powerful beyond measure. It is our light, not our darkness, that most frightens us. We ask ourselves, who am I to be brilliant, gorgeous, talented, and fabulous? Actually, who are you not to be? You are a child of God. Your playing small doesn't serve the world. There's nothing enlightened about shrinking so that other people won't feel insecure around you. We are all meant to shine, as children do. We are born to make manifest the glory of God that is within us. It's not just in some of us, it's in everyone. And as we let our own light shine, we unconsciously give other people permission to do the same. As we are liberated from our own fear, our presence automatically liberates others."


「我々が最も恐れるのは、我々が十分な力を持っていないことではない。

我々が最も恐れるのは、我々が、計り知れない力を持っていると言うことなのだ。

我々を怯えさせるのは我々の闇ではなく、光りだ。

我々は自分自身に問いかける。
私達は賢く、華やかで、才気に溢れ、偉大な存在たり得るだろうかと。

しかし実際に、そうでないことがあるだろうか?

あなたたちは、神の御子だ。

矮小なことを祈っていても世界は救えない。

萎縮することを教える必要はない。そうすれば、あなたの周りの人々は不安を感じることがなくなるだろう.

私達は皆、光り輝くのだ。子供達が、そうであるように。

私達は、私達の中にある神の御業をはっきりと示すために産まれてきたのだ。

我々の内の、誰かだけが、そうなのではない。我々全てが、そうなのだ。

私達が自ら光り輝くに従い、意識せずとも、他の人々が同じ道を歩むのを許すことになる。

私達が、自らの恐れを克服するにつれて、私達の存在は自ずから、他の人々を解放するのだ。」

2009-10-19

Konockin' on heaven's door

仲のいい後輩に勧められて、同タイトルのドイツ映画を見た。

ちょっと古くなっちゃったけど、すげえかっこよかった。

ちなみに、日本リメイクの『ヘヴンズドア』と言うのがあるけれど、予告編を見た限り、ロック・ロックした感じが全く消えてしまっていて、残念。

テーマ曲はボブ・ディランの名曲なそうな。

ディランはちょっと癖が強いので、ここではエリック・クラプトンによるカバーを。





--

Mama, take this badge off of me
I can't use it anymore.
It's gettin' dark, too dark to see
I feel I'm knockin' on heaven's door.

ママ、僕のバッジを外してくれよ。
もう、つかえないからさ。

もう暗くなってきた。暗すぎて、何もみえないや。
天国の扉、叩いてるみたいだ。

Knock, knock, knockin' on heaven's door
Knock, knock, knockin' on heaven's door
Knock, knock, knockin' on heaven's door
Knock, knock, knockin' on heaven's door


Mama, put my guns in the ground
I can't shoot them anymore.
That long black cloud is comin' down
I feel I'm knockin' on heaven's door.

ママ、僕の銃を、地面に置いてくれないか。
もう、何も、撃てなくなっちまった。

真っ黒な雲がたれ込めてきた。
天国の扉、叩いてるみたいだ。

Knock, knock, knockin' on heaven's door
Knock, knock, knockin' on heaven's door
Knock, knock, knockin' on heaven's door
Knock, knock, knockin' on heaven's door

2009-10-17

バッド/

【今日やったこと】

大腸菌とランデブー。

うらら、宇宙の、風に……。

◇◇◇


今日はちょっと愚痴。


去年卒業していって、近くの別な研究室にポスドクとして移った先輩が、急にこっちの研究室を訪れた。

その先輩より更に年上の大先輩に相談しに来たのだったが、なんだか、実験で困っているようだったので、自分も話を聞こうと思って、質問したら、はぐらかされてしまった。

この人がそう言うことをするのはいつものことなので、気にせず、なおも聴いてみると、相談しに来たはずなのにのらりくらりと僕の言葉を交わし、一向に要領を得ない。


(どうやら、からかわれているようだ。)

そう思った頃、ふと見ると、先日のあの後輩が、なんだかおかしそうに笑っている。
先輩は、その笑い声に元気づけられるように、ハイテンションになり、僕と、相談相手だった大先輩をからかうように笑って、結局、何を相談したかったのか、はっきりわからないうちに、じゃあ、いいです、と言っておかしそうに去ってしまった。

彼が去ってから、僕がその大先輩に、あの人、何が聴きたかったんですかね、と話していると、自分の話になど、全く絡んでこなかった例の後輩が、さも楽しそうに、笑って、その事情を詳細に語り始めた。


彼女と、彼が付き合っているということは、みんながうすうす感じてはいた。

それはそれで、結構なことなのだけれど、周りをからかった挙げ句に、二人して、笑っているその様子には正直自分は不快を通り越して、残念だった。

後輩はまだ、二十代も前半だから、そういうふうに周りが見えなくなることはしょうがないことなのかも知れない。

だが……、あの先輩の方は、もういい年のはずなのだ。

いずれにしろ、もう二人とも、子供じゃないわけだし、二人で他人を不快にしてまで盛り上がる様な行為を平然と出来てしまうのは、どうなのだろう。


人の悪口を言って、そうしてくすくすと笑い合って、仲を深めるような関係を、自分は余り好ましいとは思わない。そうして周りから、どんどん人が消えていって、気がつけば二人だけになって、それが二人を、どんどん近づけては行くのだろうけれど……。

なんだか、それは悲しいことのような気がする。

少なくとも自分は(もちろん、からかわれたのだから)不快だったし、失望した。
その先輩を好きになれないまでも尊敬をしていた部分はあったし、後輩のいいところをもっと見つけようとしていた矢先だった。

後輩はその後吹っ切れたように、かつて先輩の口から聞いた言葉と全く同じ言葉を、言葉の端々に織り交ぜながら、話すようになった。もちろん、僕に背を向けて。

お互いの距離を測りながら、少しづつ近づいたり離れたりする恋が、彼らには出来なかったのだろうか。自分を見失う程、心酔できることは幸せだとは思うが、ブレーキの外れてしまった車輪は、一体何処に転がっていくのだろう?


あんな見境のない恋をする位なら、1人でふらふらしていた方がまだましだと、恋など忘れておいてきた眼鏡の男は、腹立ち紛れに大腸菌をつつきながら強く、思った。

2009-10-16

読書メーター開始

【今日やったこと】
「読書メーター」(http://book.akahoshitakuya.com/)
と言うのを始めてみました。新しもの好きですし。ホンだけは、読むのでね。

けっこう、いいかも、じぶんにとって。


◇◇◇

2009-10-10

傘がない (Lost my umbrella; Yosui Inoue)

今日は気分転換に、更に。
---




都会では自殺する若者が増えている
今朝来た新聞の片隅に書いていた
だけども問題は今日の雨  傘がない
  行かなくちゃ  君に逢いに行かなくちゃ
  君の街に行かなくちゃ  雨にぬれ
    つめたい雨が今日は心に浸みる
    君の事以外は考えられなくなる
    それはいい事だろ?

"The increasing suicide is killing youths in the capital"
The morning news told me so shortly, too shortly.

However, I lost an umbrella.
It is more serious than any things.

I must go. I miss you in the rain.
I wanna go to your town with deeply drenched.

The cold rain is chilling my heart,
lost my mind coz of your sad smile.

I know it is love.


テレビでは我が国の将来の問題を
誰かが深刻な顔をしてしゃべってる
だけども問題は今日の雨  傘がない
  行かなくちゃ  君に逢いに行かなくちゃ
  君の家(うち)に行かなくちゃ  雨にぬれ
    つめたい雨が僕の目の中に降る
    君の事以外は何も見えなくなる
    それはいい事だろ?

In the news, some intelligentsia spoke our future
with a majestic face.

However, I lost an umbrella.
It is more serious than any things.

I must go. I miss you in the rain.
I wanna go to your house with deeply drenched.

The cold rain drown my eyes,
blinding me to anything except your sad smile.

I know it is faith.

取っ手

【今日やったこと】
論文読み。

トランスフェクション。

自分についての考察。
オアシス聞きながら。
◇◇◇


取っ手がないものは掴みにくいものです。
どんなものでもね。

のりしろのない工作は、永遠に組み立てられません。
完成の夢は描かれていても、部品と部品が、出会うことはないから。


虚空の中を進む、分子の心地。

つかみ所のない気ままさと

留まることのない、せつなさと。

Falling down (Oasis)






The summer sun, it blows my mind
Is falling down on all that I've ever known
Time will kiss the world goodbye
Falling down on all that I've ever known
Is all that I've ever known

夏の太陽が俺を打ちのめして
知ってる限りみんな駄目になっちまった

時間が世界に、サヨナラのキスをして
みんなお流れになっちまう
みんな、俺が知ってること、みんながさ

A dying scream makes no sound
Calling out to all that I've ever known
Here am I, lost and found
Calling out to all

死ぬ時の叫びは、音もしないさ
知ってるものみんなに、叫びをあげても
ここにいる俺、見失って、また見つけて
みんなにむかって、叫びを上げ

We live a dying dream
If you know what I mean
All that I've ever known
It's all that I've ever known

崩れかけの夢の中を生きてるんだ
もしきみに、俺の知ってたことの意味が解ったら
それが俺の知ってたことの全てなんだ

Catch the wheel that breaks the butterfly
I cried the rain that fills the ocean wide
I tried to talk with God to no avail
Calling Him in and out of nowhere
Said if You won't save me, please don't waste my time

蝶を踏みつぶすリングを止めてくれ
海を満たす雨に涙を流して
役にも立たない神様と話そうとした

内にも外にもいない、彼を呼んで、言ってやったんだ
“助けてくれないなら、俺の時間を無駄にしないでくれ!”

All that I've ever known
All that I've ever known
It's all that I've ever known

それが、知ってることの全てさ
俺が知ってることの、全てなのさ

Catch the wheel that breaks the butterfly
I cried the rain that fills the ocean wide
I tried to talk with God to no avail
Calling my dream and out of nowhere
Said if You won't save me, please don't waste my time

蝶を踏みつぶすリングを止めてくれ
海を満たす雨に、涙を流して
役にも立たない神様と話そうとした

何処にもない俺の夢を呼び出して、言ってやったんだ
“助けてくれないなら、俺の時間を無駄にしないでくれ!”

The summer sun, it blows my mind
It's falling down on all that I've ever known
Time will kiss the world goodbye
Falling down on all that I've ever known
Is all that I've ever known

夏の太陽が俺を打ちのめして
知ってる限りみんな駄目になっちまった

時間が世界に、サヨナラのキスをして
みんなお流れになっちまう
みんな、俺が知ってること、みんながさ



ちなみに、別なサイトに載っていた、訳詞。
……こっちの方がそれっぽい。

まだまだ、修行が足りない。


頭がぶっ飛ぶような夏の太陽
俺が知っているものすべてに照りつける
いずれ世界に別れのキスをするときがくる
俺が知っているものすべてに崩れ落ちる
それが俺が知っていることのすべて

死に際の叫びは音もなく
俺が知っているものすべてに呼びかける
俺はここで見失われ発見される
すべての人に呼びかけながら

俺たちは瀕死の夢の生きている
言いたいことは分かるだろう
それが俺が知っていることのすべて
俺が知っていることのすべてだ

蝶をバラバラにするその車輪を止めろ
涙を流して広大な海を満たすんだ
神と話そうとしたが相手にされなかった
名もなき場所から神を呼び出して
俺はこう言ったんだ
“救う気がないのなら これ以上俺の時間を無駄にしないでくれ”と

蝶をバラバラにするその車輪を止めろ
涙を流して広大な海を満たすんだ
神と話そうとしたが相手にされなかった
名もなき場所から神を呼び出して
俺はこう言ったんだ
“救う気がないのなら これ以上俺の時間を無駄にしないでくれ”と

頭がぶっ飛ぶような夏の太陽
俺が知っているものすべてに照りつける
いずれ世界に別れのキスをするときがくる
俺が知っているものすべてに崩れ落ちる
俺が知っているものすべてに崩れ落ちる

2009-10-09

サイド・チェイン

【今日やったこと】
ベクター設計。

抗体作りのための免疫原を得るための。

目的の目的。

見失ってしまうもと。
◇◇◇

Hey hey my my (Neil Young)




Hey hey my my
rock and roll will never die
here's more to the picture than meets the eye
hey hey my my

ヘイ、ヘイ 
僕らのロックン・ロールは不死身さ
目で見るよりもずっと多くの絵になりそうなことがここにはある

you're out of the blue and into the black
they give you this but you pay for for that

その青から抜け出して、真っ暗な中へ
もらい物の代償は払わなくちゃ

and when you die, no you dont come back
cos your out of the blue and into the black

そして君が死んだなら、もう戻っては来ないさ
だって、もう君は青を抜け出して、黒の中にいるのだから

my my hey hey
rock and roll is here to stay

僕の、わたしの
ロックン・ロールはここにある

it's better to burn out than to fade away
my my hey hey

消えちまうより、燃え尽きた方がましさ
僕の、僕の、


--
オマケのオアシスバージョン

2009-10-06

鳥のうた

鳥は空を飛ぶために
身を削り、骨を軽くしたそうだ。

浮き袋のような身体になって、長い首伸ばし
ベランダから今も空を見ている。

その空っぽの身体の中に巣くうのは今も
あの恐竜だった頃の、きびしくうつろなこころ。

足に残った鱗には、今も、中生代の温度で赤い血が流れ続ける。

ずっと昔、激しいあらしがきて、ほろんでいったかつての同胞たちの亡きがらが
忘れることを知らない大地の上に、まだ寝ころんでいるのを鳥たちは知っている。

血のにおいがする大地には、もう嫌気が差してしまった。

高いビルの窓辺につかまって、鳥たちが、
遙か下の大地を見下ろすとき

遠い過去を見るような眼差しで、目を細めるのは、そのためなのかも知れない。

2009-09-12

夏の終わり

【今日やったこと】

ポスター作り。
眠い目こすり。
◇◇◇


昨日、後輩達と一緒に、野球観戦に行ってきた。
日ハムXロッテ戦。

実は札幌来てから初めて行く野球の試合。
地下鉄の駅を出るとすぐに、札幌ドームは見えるけれど、
見えてから、着くまでが長い。

何とか席に着き、溜息着いた時には、試合開始一時間前。
内野自由席。選手が大きい。

試合中、何度もファールボールが飛んできて、少し冷や冷やしたけど、臨場感は抜群。
ただ試合は負けてしまった。
何度もランナーを出して、いいところまで行くんだけど、後一本が出ない。
ヒット数で上回り、試合には負けてしまう、じれったい内容。


その後、学校近くの居酒屋で試合に負けた“反省会”。

もう夜も遅かったし、女の方々はみんな帰ってしまったので、野郎ども五人が偶然残ってしまった。
恋バナと、仕事の話しと、各分野の教授の悪口と、夢と希望と、女のフェチズムを暴露しあって、コーヒー焼酎片手に、夜は更けた。


夜中にyesteradayとlet it be が聞きたくなって、イヤホンしたまま、つらつら家に帰った。

夜の風が、やけに冷たく感じる季節になったと思った。
昼間の薄着では少し寒かった。

身を縮め、ポケットに手を突っ込んで、もう、閉まってしまった飲み屋の前に、心残りでもあるかのように、まだ、たかっている若い、若い学生達を横目に見ながら、

その話しぶりに、人恋しさを感じた。

コオロギの声が遠くから聞こえた。
コンビニには、いつまでも人が残っていた。
読まなくてもいい本を、いつまでも選んで、
買わなくてもいい甘いサイダーを買って、そのまま家に返った。

2009-09-11

Fragile

【今日やったこと】
PCR, PCR, ちょっと大腸菌。

ビートルズ聞きながら、何となく。
◇◇◇


なんか、最近、人付き合いの難しさを痛感している。

理学部から新しく入った後輩が、どうも気むずかしい。
しかも、何故か俺にだけ。

用事がない時は話しかけない。
話しかけても、素っ気ない。
目も合わせない。

それがいい加減、5ヶ月。

馬鹿にされているんだろうか。
なんてことも、ちょっと思うほど。

雑談すら、満足に出来ない。

他の人たちには、愛想よく話しているのに。

変なの。

2009-09-06

頭の中がひどく散らかっていて
もう前に進めなくなりそうなとき、
君らがいるから前に進めるんだと僕は気づかされたんだ。

たったひとりの夜で
大声張り上げて歌っていたあの歌は
もう気持ちを揺さぶることもなくなったけど

声が聞きたい
ただそれだけで
僕は前に進めそうだから

声が聞きたい
ただそれだけを
僕に与えては、くれませんか?


僕に許されていることは
夢を追うことだけなのかも知れないけれど
それで傷つくこの心を干しておく場所すら、僕は知らない

目の前に結わえられた暖かく優しい言葉に
触れることすら敵わないまま
ただ今日という日を、必死に生きているんだ


声が聞きたい
ただそれだけで
僕は前に進めそうだから

声が聞きたい
ただそれだけすら
許されないことなのですか?

2009-08-23

Let it be




When I find myself in times of trouble
Mother Mary comes to me
Speaking words of wisdom
Let it be

(ごたごたの中で自分を見失いそうな時に、母メアリーが現れて
いいことを言ってくれたんだ『そのままで、いいのよ』って)

And in my hour of darkness
She is standing right in front of me
Speaking words of wisdom
Let it be

(真っ暗で、先も見通せない時、彼女は僕の前に現れて
いいことを言ってくれたんだ『そのままで、いいのよ』って)

Let it be, let it be
Let it be, let it be
Whisper words of wisdom
Let it be

(『そのままで、そのままで。そのままで、そのままで』
いい言葉を呟こう。『そのままで』って)


And when the broken-hearted people
Living in the world agree
There will be an answer
Let it be

(この世界に住んでいる、心破れた人たちが、みんな同じ思いに行き着くだろう
『そのままで、いいんだ』って)

For though they may be parted
There is still a chance that they will see
There will be an answer
Let it be

(例え袂を分かってしまっても、まだチャンスはあるんだ。
答えを得られるチャンスが。
『そのままで、いいんだ』って)

Let it be, let it be
Let it be, let it be
There will be an answer
Let it be

(『そのままで、そのままで。そのままで、そのままで』
答えは得られるさ
『そのままで』って)

--
--

And when the night is cloudy
There is still a light that shined on me
Shine until tomorrow
Let it be

(曇った暗い夜。でも、まだ明かりは僕を照らしている。
明日までを、照らしてほしい。
『そのままで』)

I wake up to the sound of music
Mother Mary comes to me
Speaking words of wisdom
Let it be

(音楽で目覚めて、母メアリーが現れた。
そして、いいことを言ってくれたんだ
『そのままで、いいのよ』って)

--
--

この手には何も掴めないのか?

この手には何も掴めないのか?
欲しいと思った全ての物はこの手から滑り落ちていく。
紫色の桐の花は、もはや無いのと差して変わらず、海の色したその石さえも、ただただ空を掴むばかり。
この白い、誰の役にも立たない掌は、それが何にも使えなかったことの証し。
傷だらけの指と腕を持つ友人のその太い指先を見ながら、己の指をただふり返る。

掴むことは傷つくことと、教えてくれたのは誰だったか?
傷一つ無く今日まで過ごしたこの指先に、愛や勇気や、真理を語る口はあるのか?
無言で立ちすくむ力ない指は、今日も同じ顔をして青白く五本並んだまま、つかみ所のない青い空を見上げ

理想を追う物の指はいつも、傷を知らず、痛みを知らない。
それは掴めぬものを追い求め、掴めるものをしっかりと掴んでこなかったから。
零れていく物を追わず、ただ、前だけを見つめ続ける者に、こぼれ落ちた物をふり返るだけの
握力も気力も残されてはいない。

前を見るしかなかったのだ。後ろを見ることは、なお、怖いから。
しゃがみ込み、過去をふり返ろうとすれば、膝は萎え、もう踏み出せなくなるかも知れなかった。

ただ、それは...。

建設的といえるだけの、前向きな行為なのか?
手を汚さず、建設したそれは、果たしてこの地に受け入れられるのだろうか?

幾つもの臆病を抱え、今日も手は、その役目をもてあましている。

2009-08-13

さわる

人と人との間には、目に見えない幾つもの深い谷底がぽっかりと口を開けていて、僕らはそれの存在を半ば認識しながら、果たしてそれに気がつかないふりをしつつも、冷や汗垂らし垂らし、見えない崖を超えようとする。

果たしてその崖を超えることに、どれほどの意味があるのか、自身で良く自問自答はさせていただいたものの、未だ結論は出ず、ただただそれが、強迫神経症の元凶の、汚れた手で触った冷蔵庫の取っ手の縁の谷底のような嫌悪感を伴った、嫌らしい品物であるかのように、眉間に皺寄せて、それでも手を付けるのだ。

果たしてそれに手を付けたことは正解だったのか、それとも不快なだけだったのか、後悔だけが先に立って、それでも手を差し出した自分の行為の意味と、後ろから背中を押しておいて、自分だけは逃げ帰った、見知らぬ知り合いへの恨み節ばかりが、偏狭なる心の窮屈なワーキングスペースを占有していく。

それでも手を掛けずにはいられなかったその、やはり強迫神経症の発作のような何か自分を急かす情動に、勝った負けたと勝負にもならない勝負を仕立て上げて、自分は負けたわけではないのだという、ありもしない引き分けに持ち込んだ、優柔不断で柔軟なこの不敗の定義に、

救われたような、堕とされたような、人間回復のこの道上。

2009-07-22

Don't Know Why





I waited 'til I saw the sun
I don't know why I didn't come
I left you by the house of fun
I don't know why I didn't come
I don't know why I didn't come

(日の出を見るまで待っていたんだ
行かなかった理由も分からずに
騒がしい場所の傍に君を置き去りにして
行かなかった理由も分からずに
行かなかった理由も分からずに)


When I saw the break of day
I wished that I could fly away
Instead of kneeling in the sand
Catching teardrops in my hand

(夜が明けて行くのを見たら
僕は飛んで行ってしまいたかった
砂の中に膝を埋めて、涙の粒を受け止める代わりに)

My heart is drenched in wine
But you'll be on my mind
Forever

(僕の心は、葡萄酒に濡れてしまって
それでも君は心の中に居座り続けるんだ
いつまでも)

Out across the endless sea
I would die in ecstacy
But I'll be a bag of bones
Driving down the road alone

(終わりのない海にこぎ出して
恍惚の中で死んでしまうんだろうな
それでも骨と皮になった僕は
独りこの道を走り続けて)

My heart is drenched in wine
But you'll be on my mind
Forever

(僕の心は、葡萄酒に濡れてしまって
それでも君は心の中に居座り続けるんだ
いつまでも)

Something has to make you run
I don't know why I didn't come
I feel as empty as a drum
I don't know why I didn't come
I don't know why I didn't come
I don't know why I didn't come

(何かが君を逃がさなくちゃいけない
行かなかった理由は分からないんだ
ドラムみたいに空っぽに感じてる
行かなかった理由は分からないんだ
行かなかった理由は分からないんだ
行かなかった理由は分からないんだ)

2009-07-18

新作

旅行中に書いた、新しい文章をアップしました。

ちょっとダークで、優しく、気味の悪い文章です。

割と、意味深な感じに仕上がりました。

ではでは。

2009-07-01

生活

いつも通りに学会をこなした後、途中で知り合った知り合いの研究室(もちろん日本人グループ)と一緒に、街に出た。

そもそも、その研究室のグループは、乗り換えの途中で荷物がなくなってしまったらしく、今日着る物にも困る有様。とりあえず、ニ、三日必要なものを買いに出るというので、自分も、お土産を買いに行くつもりで、ついて行かせてもらった。

ホテルのカウンターで行きと帰りの切符を買って、路面電車に乗り、街の中心部へ。電車は坂を上り、林を突き抜け、ぱっと視界が開けたと思うと、山沿いに走りだす。そして、その先には、中世ヨーロッパ、という趣のプラハの町と、モルダウが横たわっていた。

買い出しに行ったデパートは、しいて言えば、でっかいジャスコ。

とにかく服屋が多くて、女ものが主。
次に、子供服。
そして、ちょっと甘いもの。
男ものは店の奥の方にちょこっと。
あるいは、全くない。
しかも、ボーダーとか、割かし、地味なものばっかり。

そういう買い物における著しい偏りは、どこもおんなじらしい。
こういうところでは、男ものは、いつも、ついでだ。

自分は、特に服を買う気はなかったので、とりあえず、手ごろな本屋に入り、チェコの絵本を一つと、小さい文房具をいくつか買った。
あと、一応、お土産にと、"チェコで売っていたパンツ"(たぶん、中国製)も買っておいた。


チェコの物価は、消して安くはない。
たぶん、日本とほとんど同じくらい。

ジーンズを買った知り合いはリーバイスで1万円前後だと言っていたし、パンツも5枚千円ちょっとだった。ただ、何が違うのか、パンツの中には、2枚で2千円もする、どう見ても普通のパンツもあり、それはお土産のネタとしては、ちょっと高い気がしたので、安い方を買ったのは言うまでもない。

その代わり、バーゲンだったのか、靴は非常に安かった。
日本では1万円前後はするだろうという、革のカジュアル靴が、6千円くらいで売っていた。

好きな人にとってはいいかも。

そのあと、チェコ料理を食べようと、2階のフードコートをうろうろしていると、あやしげなお店を見つけた

"Running Sushi"

チェコの、回転ずしだ。
あまり詳しく見なかったけれど、回っているものの中に、なんだか寿司とは縁遠いものが流れていた気がしたのと、メニューをぼんやり見ていた自分たちに話しかけてきた、板前風のオジサンが、日本語で話していた自分たちに、なぜかチェコ語で話しかけてきて、おそらくは日本人ではないことを露呈してしまっていた。

メニューの中には"Bento"という、幕の内みたいなものもあり、椅子に座っていた、二人のご婦人が、器用にナイフとフォークで、Bentoを食べていたのが印象的だった。

結局自分たちが入ったのは、セルフサービスの、飯屋みたいな料理屋。

食堂のおばちゃん、といった感じの、かっぷくのいい母ちゃんが、お玉をもって自分たちの注文を待っていたが、いかんせん、英語は通じない。

とりあえず、知り合いが近くの大学生風の若い兄ちゃんを捕まえて、英語をチェコ語に通訳させ、チェコで一般的な料理を一皿、盛ってもらった。

それが写真の料理だが、肉を、デミグラスソースみたいな肉汁のソースで煮込んだ(ような)ものと、ザワークラウトのしおしおで、なんだか紫色のものと、ちょっと甘い蒸しパンみたいな白いのが付いてきた。

肉を煮たものは、なんとなく、硬い角煮に似ていたけれど、とにかく、びっくりするほど塩辛い。
別なものを頼んだ人のは、そんなに塩辛くはなかったので、これは、こういう料理らしい。

チェコ人の、塩味に対する寛容さは、並大抵ではない。

ただ、一緒に付いてきた蒸しパンと、一緒に食べると、それなりにいい感じに感じられた。
もしかすると、原液を舐めたせいで、味覚がまひしていただけなのかもしれないが。

ホテルで食べたものの中には、こんなにすごいのはなかったので、やっぱり、実際に街に出てみないと、本当の味には会えないものらしい。

そのあと、帰り際、雨が降ってきたので、途中で雨宿りがてら、スーパーに寄った。
とにかく、食料品が豊富で、びっくりした。
黒パンが50-100円程度で、とっても安い。ワインも豊富。

冷蔵庫にいっぱい並んでいたチェコビール缶の中から、バドワイザーのもとになった、"バドバー"(左小)と、チェコでは一般的な"ピルスナー・ウルケル"(右大)を買ってきて、部屋で飲んでみた。

どちらも、しっかりした味のビールだが、ピルスナーの方が、ほんのり、酵母らしい甘みのようなものが感じられた。

これはさすがに、お土産にはできないので、ここで味わって、自分の腹にしまっておくことにした。


2009-06-30

本番・ヒトのナサケ

プラハ3日目

今日から本格的に学会が始まる。

というよりも、今日が自分にとっての本番。
午前中の、開始から3演題目。それまでに、早起きして、プレゼンのファイルを担当の人に渡さなければならない。学会のオープニングは、8:30から。
結局、5時起きして、6:30には朝ごはんを食べ、7:30の準備の開始時間を待って、すぐにデータを引き渡した。
ここまでで、すでに仕事は終わったような印象。

プレゼンの練習は、十分に(少なくとも、今までのずぼらな発表の数倍)してきたつもりだし、いまさらあがいても仕方がないと、無駄な大和根性を見せつける気持で、鞄を抱えて、おどおどと会場に入った。

オープニングイベントはゲストの長い研究発表で、1時間程度で終わり、一度、コーヒーブレイク。とにかく口が渇くので、コーヒーを飲んだ挙句、ミネラルウォーターを2杯飲み、傍らに置かれていたクロワッサンを思わず頬張ると、また口が乾いてしまった。3杯目の水を一気飲みして、いざ発表会場へ。

研究発表はあっさりと始まり、まず自分に先立って、コンペティターたちの発表が2件続いた。
どちらも、初めて見る顔だけれど、データと、名前だけはよく知っている。若い研究者という感じのアメリカの若者で、なんだか態度が大きく見えるのは、アメリカ人だからか、それとも、すげえ雑誌に論文を何本も出している人間の余裕だろうか。

さて、そうこうしているうちに自分の番。
名前を呼びだされて、そそくさと壇上に上がる。

客は100人ほど。ほぼ満席。
名前を名乗り、学生であるということをさりげなく強調して、オーガナイザーの、温和そうな二人の婦人に、はじめにお礼を言ったあと、
「まずはじめに....」と、片言の英語で切り出す。
「ここに来るために、僕はいくつもの、"初めて"を経験してきました」
「海外に出るのが、そもそも初めてですし、パスポートを申請したのも、もちろん初めてです。英語で研究発表をするのだって初めてなら、なんといっても、プレゼンテーションのファイルで20スライド以上のものを作ったのも初めてです」
ここで、どっと笑いが起きた。
どうやら、通じているらしい。
一応、スライドには、以上の文章は書いてあったのだけれど、それでも、予想通りの反応が起こって、少し気分が楽になる。

「しかし、一番、大切なことは....、これから紹介する遺伝子を、他の研究者の前で"初めて"披露するということです」

聴衆の顔が、心持ふっと引き締まる。うまく効いたらしい。

「私たちの国の、世阿弥という能の創始者の言葉に"初心忘るべからず"という言葉があります。私は不慣れなため、皆さんを混乱させ、惑わせてしまうこともあるかもしれませんが、できる限りわかりやすい方法で、説明するように努めます。...皆さんと一緒に、私たちの発見を共有し、議論できたら幸いです。」

こんな感じで、時折笑いをとりながら何とか20分乗り切った。

そして、質問タイム。

いきなり手を挙げた白人男性。名前を聞いてびっくりした。
あこがれの、あの先生だ。

「前に、君のところでやっていた、あの遺伝子、おもしろかったんだけど、もうやらないの?」
実際、その遺伝子を調べようという話は、時折出ていたが、今は僕一人しか人がいないため、後回しになっていた。

質問を理解し、それを言い返すため言葉を選ぶのに、一瞬、言葉が詰まる。
「それは....、大切だとは思いますが....」

この後が続かない。
なんて言ったらいいものか。頭の中が真っ白になりそうになる。

とっさに、

「でも...、ぼ、僕、て、手が2本しか、ありませんから!」
聴衆に沸き起こる笑い。

なんだか、ジョークとして通じてしまったらしい。

質問した先生も、こりゃ、参ったという顔で、肩をあげるしぐさをして、早口の英語で、苦笑いしながら。
「こいつめ!」
と言って、座ってくれた。

そのあとも、同様の、こういう実験はしないの?てきな質問が来たけれども、同じ回答で、何とかごまかす。


そのあと、休憩時間の度に聞いてくれた方々に何度か呼び止められ、
「あなたの発表、楽しかったわ。今度も来れるように、頑張ってね」
と、温かい励ましをいただいた。

とっさに返す言葉も浮かばなかったので、
I'm happy!とThank you!を繰り返しながら、なんとか、答えた。


みんなやさしいもんだ。

そのあと、オープニングディナーで、ヨーロッパで最古級の大学にバスで移動し、そこでびゅふぇ形式のディナーをいただいた。ハムのようなものや、肉にイモと、何かの豆のようなものが混ぜられたパテのようなもの。パスタのヴァルファレが肉や豆と一緒に煮込まれた料理など、どれを食べてもおいしかった。

神学的な装飾に彩られたゴシック調のホールで、クラッシックがかかりながら、チェコのビールをちょっとだけ味わい、もう後は、帰ってもいいかな、と、ちょっと幸せな気分に浸れた。

かけあしのプラハ

プラハ二日目。

本当なら一日で周るはずでは無かった道のりを一日で周ってしまった。

さすが国際学会だけあって、学会の予定表を見たらどれもとても魅力的な演題ばかりで、いざ学会が始まってしまったら、もう外に出れなくなるだろうと思ったので、受付だけ行われる今日の日程を利用して、とっとと周ってしまった。

受け付け開始は午後二時。
なので、朝八時から行動開始。
実験には、どんなに頑張っても昼過ぎからしか出てこないくせに、旅行となると、やけに活動的だ。

最初に行ったのは、ホテルから一番近い観光地、プラハ城。

長い坂を上って、すごく時間の短い、せかすような横断歩道を渡っていくと、そこに、そびえたつ二本の尖塔が見えてきた。

それがプラハ城のシンボル、聖ヴィート大聖堂。
城そのものは、宮殿のような平城なので、あまり目立たないが、ゴシック様式の重厚なこの大聖堂は、近づくものに、押しつぶされるような威圧感を与える。

プラハ市内に入ると、こういう建物が至る所にあり、観光客がパシャパシャ写真を撮っているのにあちこちで出くわす。
観光客らしさをあんまり表に出すと、すりの標的になると誰かが言っていたので、できるだけカメラは必要な時以外は出さないようにしていたのだが、あまりに美しい建物が立て続けに現れるので、挙句の果てには、手に持ったまま、ぶらぶらしていた。

行き買う人は見たところほとんど観光客らしく、さながら、京都のよう。

実際、そんなものらしく、お土産はやや高め。
キーホルダー400円前後。

ところが、少し道を入ると、露天のならぶ通りに出くわした。

個々の商品がすこぶる安く、チェコ特産の、素朴な木のおもちゃなどが、キーホルダー並みの値段で売られている。
これだったら、ここで買うんだったと、後悔。

そのほか、絶対行くと決めていた、ミュシャ博物館、カフカ博物館にも足をのばした。
カフカ博物館には日本語の案内の本が用意されていたし、ミュシャ美術館のお土産は少し高いけど、ミュシャの絵がふんだんに使われていて、少しかわいい。研究室のみんなのために、奮発してマウスパッドや、マグネットを買った。

ただ、ミュシャ博物館の受け付けのお姉さんが少し怖かった。
チェコは、おつりを嫌う人が多いらしく、おおざっぱにお金を払うと、あからさまに不機嫌な顔で、
「小銭、無い?」
と聞いてくる。
だからできるだけ、買い物のときは小銭を出すようにしていたのだが、今回はちょうどなかったので、紙幣をそのまま差し出すと、お姉さんは、紙幣をむんずとつかんで、乱暴にレジに放り込んだ。そして、小銭をジャラジャラと取り出したが、扱いが乱雑だったためか、一個ぽろりと落としてしまって、
「ちっ!」
と、舌打ちして、床に落ちたコインを屈みこんで拾った。

カウンターの上に、落としたコインを、ドス、と置いてくれたので、おもわず、
「...I'm sorry...」
と蚊の鳴くような声で誤って、中に入った。

まあ、そんなこともあるけれど、小さな博物館の割には楽しかった。

その他、小腹が空いてケンタに入ったら、ツイスターがおいしそうだったので注文しようとしたところ、発音がうまくいかず、ちっとも伝わらずに、注文だけで苦労したりした。その上、ペプシはセルフサービスらしく、空っぽのカップが出てきて驚いた。そのカップの表記は"0.4L"となっており、ここまで汲め、という意味か、淵のところにちゃんと線まで引かれていた。

実際に汲んでみたら、機械からは、なぜか泡ばっかり出てきて、カップにいっぱい注いだつもりが、半分も入っていなかったりした。

しかも、ケンタのセットはどれも末尾が九の価格が多く(119Kc, 109Kc等)、ぴったり払うのはそもそも難しい。

ようやくありついたツイスターを頬張りながら、どこの国でも変わらない味が食べられる安心感と、つまらなさに、舌鼓を打った。

2009-06-28

わあ、るど、わい、ど









先ほど、なんとかホテルについた。
(二つの写真がそれ)

ネイティブの人たちの英語は、何言っているのか、聞き返さずには分らないし、ゲートを通るたびに、いちいち手荷物を開けなきゃなかったし、ホテルに着いたら着いたで、フロントのブロンドのお姉さんに、突き刺すような青い目で、きみの予約は明日からだ、なんていわれるし。

あらかじめ学会を通じて予約を取ったはずだと、学会の秘書さんからの手紙を見せながら片言で説明して、ようやく部屋を取ってもらったころには、自分も受け付けの彼女もすっかりくたびれてしまって、僕が取り出した手紙をしまおうと屈みこんだすきに、彼女の付くため息の声が聞こえたりして。

全く文化が違うと、色々な些細なことが極めて難しい。

中継地のアムステルダムのトイレで、水を流さなくていいと気付くのに数分を費やし、そこから乗ったチェコ航空で、オレンジジュースと一緒に出された、ハムを挟んだ黒パンのサンドイッチが、サービスだと気付かず、周りの人をきょろきょろと見渡して、同じく周りをうかがっていた、隣の席の、イギリス風のパンクな格好の婦人と、目があって、二人して,気恥しくパンを食べたり。

なにより、最初に乗ったJALの国際線で、窓側に座った自分がトイレに立つたびに、隣の席の女性に、
「すいません」
と断っていたけれど、あとでその人がCAさんと話しているのを聞いたら、完全に英語だったり。
(CAさんも、はじめ日本語で話しかけていたようだったけれども、途中で気づいて英語に変えていた)

本当に世界は広い。

ホテルから迎えに来た学会のスタッフさんの車に乗り込もうとして、運転席側に回りこんで、笑われたりもした。

でも、その人と、マイケル・ジャクソンが死んでしまったという話題で、一緒に話ができたということが、とても印象的だった。

こんだけ広い世界で、一緒に話題にできるだけのアーティストって、何なんだ?

2009-06-25

サスラヒ

今週末から初の海外学会に参加するため、渡航します。

場所は、プラハ。

名前だけ聞いて、どこだか解らない……。
(チェコ、だそうな)

初の口頭発表。
しかも英語。
始めてパスポートを申請し、
海外の秘書さんとやりとりし(“ペトラ”と、“レンカ”は、もはやメル友?)

飛行機の乗り継ぎという奴を一人でこなして、単身、東欧に乗り込みます。
先生は、友達が行かないからと言う理由で、一緒に行ってはくれません。

たぶん僕は、現地の土に帰ります。
生き残ったら、写真をいくつかアップします。

では、お元気で、

ごきげんよう。

2009-04-03

定義

誰かを、心からきらいになりたいと願っても、きらいに、なれいないこと。

2009-03-22

breath in blue

落としたのなら、正直に、そう言うといい

だれも、君を責めたりはしないから


君はもう、それを失ってしまったのだろう
遠い渚の、アスファルトの防波堤の、いつだったか腰掛けて、
ぬるいコーラを飲み干したあの場所に

戯れる蟹もいないあの砂浜には、砂の城すら築かれなくて
高台の灯台守は、ふもとで遊ぶ子供らに、怒鳴りつけることさえもなく

だた丘を昇り、船を見て、いい気持ちで深呼吸している彼らに
優しく笑ってみようかと、鏡を見ながら、微笑む練習をはじめて

いい加減、上手に笑えるようになった時には
彼らの姿はもうなくて
灯台守は仕方なく、沈み始めた太陽に、こっそりと笑顔を向けてみたりする


中身のすっかり干上がったコーラの空き缶が
ザリガニのすみかとなるまでに
今朝来た子供らはいつしか、安定と節約という魔法の呪文で
この世界は出来ていることを知り
大人になると言うことが
どんなものでも数えられるようになることと、ほとんど同義なのだと悟って

無限に広かった海はその時、小さな一リットルのバケツの中に収まってしまい
悠久に拡がった丘の上の空はもう、僕らの空ではなくなってしまうその瞬間を乗り越え

いつだったか、思い出が、夢と同じに、頭の中にしか存在しないことに気づいて
ただ泣き叫ぶ石の上で

残酷なのは破れた夢ではなく破れずにいる思い出

消せない過去ではなく、描けない未来

現在という点から、一歩も外に踏み出せない僕らは
未だ広い海の前で途方に暮れながら
いつしか日は沈み

笑顔の練習をしていた灯台守すらも眠ってしまって
ただ、空き缶を握りしめながら

海ばかりを見ていたことに気がつく

シャドウズクライ

偉そうなことを言っている自分に嫌気が差してある晩、自分を抜け出しました。

こっそりと夜空に光る月は、誰しも、見てみないふりをしていると決め込んでいて、本当はその細い目の奥で、せせら笑うように、鉛の瞳が僕をとらえて放さないのを、僕は知っていたのです。


いつもは車の通りの激しい環状線は、今夜はやけに静かで
車のない道路は、気の抜けたサイダーよりも、もの悲しく

太い道路に掛かる、細長い横断歩道の真ん中で、一瞬立ち止まって
右手から流れてきて、左手に流れ去る、なにものかの葬列をただ黙って見送りました

ご遺体は麻布にくるんで
月夜の晩に埋めましょう

そう言うあなたこそ
まだ、ここで斯うしていいのですか?

ああ、いけない
プシュケーの旅路も末路。
ご婦人方、お気をつけなさい
暗闇は、人を迷わすもの。取り込まれた人間は数知れず
あなたも、わたしも、そのひとり

男が一人葬列を離れて、誰もいないくらい脇道へと
静かにそれていきました

私はそれを、環状道路の真ん中の、
人々が安全地帯と呼ぶ小さな花壇の真ん中に座って
両脇を地獄の葬列がものすごい早さで、風のように流れさっていくのを、ぼんやりと眺めていたのです。

車からは無い物とされ、歩行者には、孤立と恐怖だけを与えるその安全地帯は、
自分だけ安全であると言うことが、いかに寂しいことであるのか
わたしに教えてくれました


時には危険の方が
人は喜びもするのです

ザイルの存在に気づくのは、それが宙に浮いた時なのです

わたしはそれを見落としていました。

優しさが時には絆を断ち切るのを
わたしは忘れていました


月はますますその目を細めて、もうほとんど半狂乱のようになって、わたしを見つめ続けています

わたしはその月に弓を引くまねをして
見えない葬列を横切って、脇の道にそれていった男の、足取りを追うのでした。


自分が、自分から巣立って、七日目の晩のことでした。

2009-02-24

アラウンド・ミッドナイト

たった一つの、火鉢の暖かみでさえ、
今の僕には遠いのです

寒い日に、手袋も嵌めずに冷えた手を握りしめてくれたその感覚が
いまでもときどきポケットの中でこそばゆく蘇るのに

僕は雪でつるつるに凍った道を白い息、吐きながら
それでもずいぶん身軽な身体をもてあまし気味に家に帰るのです

何かが足りないけれど、何かを必要としていない自分がいて
そうして、足取りは変わらず、ひょこひょこと、
親父譲りの歩調で、今日も進むのです

それは進歩のようで、あるいは堕落への一歩のようで
どっちだか解らないけど、ただ、
立ち止まってはいないという、たったそれだけの貧乏揺すりのような
安心感を覚えながら

今日も一日は終わるのです。

遠い目で見た時に
僕のしていることは果たして正しいのかどうかは、解りません
でも、一つだけ言えることは
これもまた、
人生の一形態なのだと
スーパースターの陽炎のような夜の街を遠くに見ながら
一人コンビニ弁当を下げて

あたためますか、のひとことを、
いりません、と断った自分の
心の内を計りかねながら、

冷えた弁当を暖めるレンジのチャイムが
隣の部屋に聞こえそうになるのを
びくびくしながら、待つのです

絶句

にんげんがつくづくわからなくなりました

埋まれる

きみの、どうしようもない、見え透いた嘘を

たぐり、合わせていけば、いつか

真実にたどり着けると思った僕を

笑って欲しい


それは、真実を受け止めきれない

一人のうそつきが、他人の嘘の中にさえ、真実を見ようとした

逆立ちする逆さメガネの

あまのじゃくな現実逃避


何処までも嘘を吐いていけば、やがて、
嘘すら、真実に思えてしまうこの愚かな
道化師に雪ぞ降れ

2009-02-06

また書きました

前々から暖めていたテーマをようやく書き上げた。

自分が居なくても世界は順調に回り続けるという、当然のようで、どうしようもなく寂しい疎外感をいつかかたちにしたいと思って、タイトルは「カタワラ」と決めていた。

カタワラ(傍ら)と言う字は、そば、とも読めるが、
傍流、のような、本筋から外れたと言う意味も持つ言葉にも使われる。

すぐ近くにいるのに、その本体とは、いつまでも相容れない、平行線のような感覚。

傍ら、と言う言葉には、そう言う届きそうで届かない距離感があると思い、ずっと考えていた。

まあ、暇な時にでも、読んで下さい。

2009-01-12

キャラクターの分析

「妄想」の方に、今のっけている文章がオタクの登場人物が出てくることもあって、今のアニメに多い、「キャラクター」のパターンにちょっと興味が向いている。
(アニメをたくさん見る方ではないので、知識が相当狭い中での判断であることは断っておく。考えがまとまり切れていないので、文章が散らかっててごめんなさい)

良くあるのは、女の子が、武器、ないし兵器を備えて、悪と戦う。と言うパターン。

男性が見ることを想定したアニメ、ないし、男性作家が作ったアニメでこの方が多い様に思う。主人公が女子高生位で、武器がライフルや、小銃のような銃である場合が多い。

その際、敵は、たいてい男性。


一方で、女性作家が戦う女の子を描いた場合、女の子の年代が高校生以下なのは共通しているが、なぜか武器は使わず、格闘する(あるいは魔法的なものを用いる)パターンが多いように思う。

その際、敵は、女性の場合が多い。


前者と後者とでは、実は性質に大きな差があるように思う。

銃は心理学的には男性の象徴とされている。
銃を持つ少女、というのはそのまま、『ペニスを持つ少女』の一形態と見ることは容易だ。

そうした少女が、男性の敵と戦う、というのは、書いているのが男性であることを考えて、マゾヒスティックな欲求がその背景にあるのではと一見して考えることが出来る。つまり、登場する「敵」は、書いている作者、ないし見ている男性本人の投影なのではないか。

しかし、これは、ガーナーのヴィヴィアンガールズにも見られることだが、同時に、そうした女性戦士は、敵に執拗に手ひどくやられる(大けがをする)というパターンが多いのだ。そうなると、これは男性性のサディスティックな兆候と見ることが出来る。

また、同時にそのモチーフに覆い被さるようにして、次のようなモチーフも存在すると解釈できる。

一般に強い女主人公の脇には頼りない男の子が付いていて、女主人公が、強大な敵を追い詰めていくに従って、始めは弱かった男の子が、人格的にしっかりした人物に変わってくる。

一種の、“父殺し(エディプス・コンプレックス)”なのだろうか?

総じて考えると、男性優位ー女性優位ー男性優位ー女性勝利という流れで先頭は進み、最後に彼女と、少し逞しくなった男の子のエピソードで終わる。

これだけ見ると、男性的な積極性を持つ女性主導の恋愛物語のようだ。
力強い女性の力を借りて、父性(乗り越えるべき壁)を打ち倒し、男の子は人間的に一人前の男になる。と言う流れか。

男の子は、もう女の子の力を借りなければ、一人で大人になることは出来なくなったのか。
あるいは自らの力だけでそうなることを、すでに放棄してしまったのか。



一方、女性作家、ないし女の子を想定したもので銃が出てこないのは、もちろん教育的配慮もあるとは思われるが、見ている本人の投影は主人公に向いていて、戦っている敵は、主人公よりずっと大人びていることが多いことから考えて、母親のモチーフを持っていると見ることは出来ないか。
こういう視点で見ると、「母殺し」のパターンに似ている。
しかも、これには男性性が全く絡まないので、銃は登場しないのではないか。

本来の父性と男の子との戦いにも銃は登場しにくい。
かつてのアニメに、格闘型が多かったこともその例として上げられるだろう。

銃が登場するのはあくまで、近年の話だ。
しかも、女主人公が戦う、先のようなパターンで。

もしかするとあの銃は、「頼りない男の子」から付与された、彼の男性性なのかも知れない。ただ彼は自ら戦おうとせず、少女を自らの代理として、戦わせているに過ぎないのかも知れない。

ひょっとしてこの場合の少女は、母性の象徴なのか?
結局は、母親頼みか?

そうでないことを祈る。


また、最近なのか知らないが、「ハンマーを持つ女の子」
と言うモチーフを見かけるようになった。小さな少女が、自分の体より大きいハンマーを力強く振り回す。

これが何を意味するのか、まだ解らない。

2009-01-10

新規

正月に書いた短編を今日から細切れに連載しました。
(『午前3時の妄想』の方で)

原稿用紙100枚相当。

ノートパソコンに向かいっぱなしだったので、
母親に、相当怪しまれました。

息子の趣味は親には秘密です。
死んだら教える、と言ってあります。

恥ずかしい文章ですが、良かったら読んで下さい。

感想くれるとありがたいです。