2009-08-23

Let it be




When I find myself in times of trouble
Mother Mary comes to me
Speaking words of wisdom
Let it be

(ごたごたの中で自分を見失いそうな時に、母メアリーが現れて
いいことを言ってくれたんだ『そのままで、いいのよ』って)

And in my hour of darkness
She is standing right in front of me
Speaking words of wisdom
Let it be

(真っ暗で、先も見通せない時、彼女は僕の前に現れて
いいことを言ってくれたんだ『そのままで、いいのよ』って)

Let it be, let it be
Let it be, let it be
Whisper words of wisdom
Let it be

(『そのままで、そのままで。そのままで、そのままで』
いい言葉を呟こう。『そのままで』って)


And when the broken-hearted people
Living in the world agree
There will be an answer
Let it be

(この世界に住んでいる、心破れた人たちが、みんな同じ思いに行き着くだろう
『そのままで、いいんだ』って)

For though they may be parted
There is still a chance that they will see
There will be an answer
Let it be

(例え袂を分かってしまっても、まだチャンスはあるんだ。
答えを得られるチャンスが。
『そのままで、いいんだ』って)

Let it be, let it be
Let it be, let it be
There will be an answer
Let it be

(『そのままで、そのままで。そのままで、そのままで』
答えは得られるさ
『そのままで』って)

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And when the night is cloudy
There is still a light that shined on me
Shine until tomorrow
Let it be

(曇った暗い夜。でも、まだ明かりは僕を照らしている。
明日までを、照らしてほしい。
『そのままで』)

I wake up to the sound of music
Mother Mary comes to me
Speaking words of wisdom
Let it be

(音楽で目覚めて、母メアリーが現れた。
そして、いいことを言ってくれたんだ
『そのままで、いいのよ』って)

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この手には何も掴めないのか?

この手には何も掴めないのか?
欲しいと思った全ての物はこの手から滑り落ちていく。
紫色の桐の花は、もはや無いのと差して変わらず、海の色したその石さえも、ただただ空を掴むばかり。
この白い、誰の役にも立たない掌は、それが何にも使えなかったことの証し。
傷だらけの指と腕を持つ友人のその太い指先を見ながら、己の指をただふり返る。

掴むことは傷つくことと、教えてくれたのは誰だったか?
傷一つ無く今日まで過ごしたこの指先に、愛や勇気や、真理を語る口はあるのか?
無言で立ちすくむ力ない指は、今日も同じ顔をして青白く五本並んだまま、つかみ所のない青い空を見上げ

理想を追う物の指はいつも、傷を知らず、痛みを知らない。
それは掴めぬものを追い求め、掴めるものをしっかりと掴んでこなかったから。
零れていく物を追わず、ただ、前だけを見つめ続ける者に、こぼれ落ちた物をふり返るだけの
握力も気力も残されてはいない。

前を見るしかなかったのだ。後ろを見ることは、なお、怖いから。
しゃがみ込み、過去をふり返ろうとすれば、膝は萎え、もう踏み出せなくなるかも知れなかった。

ただ、それは...。

建設的といえるだけの、前向きな行為なのか?
手を汚さず、建設したそれは、果たしてこの地に受け入れられるのだろうか?

幾つもの臆病を抱え、今日も手は、その役目をもてあましている。

2009-08-13

さわる

人と人との間には、目に見えない幾つもの深い谷底がぽっかりと口を開けていて、僕らはそれの存在を半ば認識しながら、果たしてそれに気がつかないふりをしつつも、冷や汗垂らし垂らし、見えない崖を超えようとする。

果たしてその崖を超えることに、どれほどの意味があるのか、自身で良く自問自答はさせていただいたものの、未だ結論は出ず、ただただそれが、強迫神経症の元凶の、汚れた手で触った冷蔵庫の取っ手の縁の谷底のような嫌悪感を伴った、嫌らしい品物であるかのように、眉間に皺寄せて、それでも手を付けるのだ。

果たしてそれに手を付けたことは正解だったのか、それとも不快なだけだったのか、後悔だけが先に立って、それでも手を差し出した自分の行為の意味と、後ろから背中を押しておいて、自分だけは逃げ帰った、見知らぬ知り合いへの恨み節ばかりが、偏狭なる心の窮屈なワーキングスペースを占有していく。

それでも手を掛けずにはいられなかったその、やはり強迫神経症の発作のような何か自分を急かす情動に、勝った負けたと勝負にもならない勝負を仕立て上げて、自分は負けたわけではないのだという、ありもしない引き分けに持ち込んだ、優柔不断で柔軟なこの不敗の定義に、

救われたような、堕とされたような、人間回復のこの道上。