2010-12-24

生体系 (body system)

人の体は、実際問題、人の細胞だけから成り立ってるわけではない。
腸内細菌とか、皮膚表面の常在細菌とか、そういったものが存在しなければ、正常な体の機能が果たせない場合もある。

そうであるならば、こう言った、身体を構成する他の生物も合わせて、1つの系として扱うことが必要になるのではないだろうか。

「生態系 (ecosystem)」という言葉があるのならば、「生体系 (body system)」という言葉があってもいいような気がする。

体としての機能はこう言った生体系の単位で果たされ、それが自然選択されるのだから、進化も、生体系の単位で起きるのではないだろうか。ある種への自然淘汰は、必ずしもその種の遺伝子だけに作用するのではなく、その生体系を構成する全ての生物種の遺伝情報に及ぶのだろう。

そういう全体的なゲノミクスが、これから必要になってくるだろうなあ。

2010-12-22

忘れられない忘年会

【今日やったこと】
in situ。根負けしそう

◇◇◇

毎年恒例の忘年会が先日終わった。

例年、この研究室の忘年会は、研究室外の人をゲストとして招く形で行われる。

去年はずいぶん客が少なく、多めに買ったコストコピザが一ヶ月分余って、夜食には困らない(ただし飽きる)日々が続いたのだが、今年は予想以上にお客がたくさん来て、二箱分ほどあったはずのビールが夜中頃に足りなくなるほどだった。

ビールがきれても宴会は続き、日本酒やら、ワインやらのストックにも手が伸び、実験用の冷蔵庫の一角を、長らく占めて問題になっていた酒瓶の林は、すっかり間引きされて、間伐された林のように見晴らしよく、すっかすかになっている。

どうやら今年は、研究室の先生が客員講師として行っている他大学の学生さんや、学生がお手伝いで行っている病院の職員さんたちも来てくださったため、例年以上に人が入ったらしい。

終わった後の散らかりっぷりは相当なものだったが、会そのものは非常に盛り上がり、いろいろな人と、いろいろな話(今後の進路問題、カレカノの今付き合ってんの?付き合ってねぇの的な問題、私、深海に行きたいんです的な告白、だったら俺、人類も地球も捨てて宇宙に行きたいんです的な問題発言、あ、〇〇先生階段から落ちた!的なハプニング、酔って病棟の方に行ったかも!的な非常事態、あ、廊下で吐いてる!的なお決まりの展開、等)をすることができた。

おかげで今日はぐったりで実験にならなかったが、疲れに見合う会だったような気がする。

幹事さんにはご苦労様だな~。

2010-12-10

卒業論文終わり

【今日やったこと】
RACE, in situ 相も変わらず

◇◇◇



長かった卒業論文か気がやっと終わった。
17:00締切りで、16:00に提出。

でも、研究室の技師さんに聞いたら、まだ早い方らしい。
「あと10分待ってください!」と事務に頼み込んで遅くしてもらう人もざらだとか。

それでも予想よりこの論文はかかった。
日本語でもこんなに面倒だったのだから、これがもし英語だったらと思うと、オソロシイ。


論文が終わって、先生に査読の手伝いを頼まれた。
某国際誌に投稿された論文なのだが、これがちょっとひどかった。
切片の写真が軒並みぼやけている。矢印がどこを指しているのか全くわからない。
抗体染色は全面が染まっていて、説明もない。
おまけに、図表は間違っているし、体裁も変。

それでも、にべに扱うわけにもいかないので、そういうところを逐次挙げて、先生に返事をしておいた。
その結果、先生から間もおかずに返事が帰ってきて、
「あの論文は以下のように返答しました」
とあり、

「reject (却下) 」
とあっさり書いてあった。

自分が論文書いたばっかりだからちょっと気になるだけかなと思っていたら、やっぱりひどい論文だったらしい。科学の世界の厳しさを知ったけど、あれくらいひどいのを平気で投稿するのはどうかしているなとも思った。

それから、前にも書いたか忘れたが、今年はうなぎが非常に不漁で、シーズンにとっくに入っているはずなのに今だに全く漁獲がない。実験にもならないので、今はちょっとゼブラフィッシュに手を出している。

研究室のお父さん先生の家で余っていた水槽を借り、砂利をひき、“水作エイト”でエアレーションをし、現在6匹ほどを飼育中。かわいい。が、もともと買ったときは10匹いた。一匹はRNAに、二匹はパラフィンブロックに、もう一匹は自由を求めて水槽を飛び出し、床の上で煮干しのようになっていた。

自分の中ではこの最後の死に様に、男を感じている。

ちなみに、ゼブラフィッシュは楽天で10匹500円で売っていた。
頼んだら次の日に届いた。プライマーよりも安易ないのち。

しばらくはこのブログのタイトルも“おかの上のゼブラ”にしようかと、本気で考えている。

2010-11-20

あれからしばらく

【今日やったこと】
インターネット講義。
すごい時代になったもんだ。

◇◇◇


あれからしばらくたったけど、その間にしたことといえば、
1)卒業論文
2)in situ ハイブリ
3)ゼブラケイカク

1については、もうそういう時期ですから。
大変だと聞いていたけど、大変です。論文書くこと、そのものもだけど、それに関わる書類を書いたりするのがなおさら。事務手続き、嫌い。
善良なる少年少女よ、大きくなっても、事務官だけには、なるな。
まあ、一人もいないと、困るんだけど。

2)については、鋭意努力しましたが、案の定、頓挫しました。
ポジコンは出ました。でも、目的の遺伝子は、出ませんでした。
これ以上、傷付いたハートに触れてほしくないです。

3は、うなぎにあきたらず、手を広げています。
ゼブラフィッシュ。 3センチぐらいの魚で、研究室の学生たちは、「グッピーみたい」と言っています。
一匹30円のはかない命です。
楽天で買って、次の日送られてきて、着いたその日に頭もいで、mRNAにさせていただきました。
アリガトウ。

そんなこんなで、寒い冬がやって来ました。
関係者諸君、風邪引くなよ~。

2010-10-01

パルミラの歌

【今日やったこと】
PCR。それが僕らの合言葉。
◇◇◇

パルミラを書き直している。ストーリーを大きく変えて、設定も多少変更。まだ考えている段階だけれども、時間をかけても練り直したい。テーマは、「親」です。

重要な場面で、歌でも歌わせようかなあと思い、ふらりと考えてみた:


ーー
♪いまゆきのようにまっしろなしあわせ見つけた
さわればこわれそうな小さな指に
包まれているこのあたたかい
気持ちになんて名前をつけよう

いまあかいちいさなしあわせ見つけた
よくなきわらうくしゃくしゃの顔に
くぎづけされてるこのじれったい
気持ちになんて名前をつけよう

いまふかいおおきなうちゅうのしたで
しろいちいさなしあわせいだいて
なみだあふれて、ふるえるような
気持ちになんて名前をつけよう

ーー
完成は何時になるのかなー。

2010-09-29

Live Forever

【今日やったこと】
PCR、などなど
◇◇◇


最近OASISのベスト盤が出たもんだから、連日聞いている。
まいど、気になった曲の歌詞を訳してみる。





Maybe I don't really want to know
How your garden grows
I just want to fly Lately did you ever feel the pain
In the morning rain
As it soaks you to the bone

Maybe I just want to fly
I want to live I don't want to die
Maybe I just want to breathe
Maybe I just don't believe
Maybe you're the same as me
We see things they'll never see
You and I are gonna live forever

多分本当は俺、知りたくもないんだ。
君の庭が、どう育つかなんて。
ただ飛んでいきたいだけ。
さっき感じただろう、朝に降る雨が、骨にしみるようにうずくのを。

たぶん、俺は飛んでいきたいだけ。
死んじまうより、生きていたい。
たぶん、息をしていたいだけ。
たぶん、神様なんて信じたくもないだけ。
たぶん、君も同じだろう。
俺達は奴らが見られないものを見るんだ。
君と俺はずっと暮らしていく。


Maybe I don't really want to know
How your garden grows

I just want to fly Lately did you ever feel the pain
In the morning rain
As it soaks you to the bone

Maybe I will never be
All the things that I want to be
But now is not the time to cry
Now's the time to find out why
I think you're the same as me
We see things they'll never see
You and I are gonna live forever
We're gonna live forever
Gonna live forever
Live forever
Forever

たぶん、俺はならないだろう。
なりたいと思ったものにはなんにも。
でも、今は泣く時じゃない。
今は理由を見つける時だ。
君は俺と同じのようだ。
俺達は奴らが見られないものを見るんだ。
君と俺はずっと暮らしていく。

2010-08-25

帰ってきましたよ、学会終わって。

神戸での学会発表が終わり、早々に帰ってきた。

そもそも学会は今週一週間続くので、まだ始まったばかりなのだが、自分の発表は初日だったものだから、少なくともすでにノルマはこなしたのだ。

自分のテーマを一緒にやっている後輩が特にいるわけではないので、学会で自分が出払ってしまうと、その間、自分の研究は完全にストップしてしまう。ただでさえ学会に行くと、刺激が強くて、様々なことを試してみたくなるというのに、一週間もいたら、欲求不満がたたって、いずれは会場で吐血して果ててしまうんじゃないだろうかと思う。

いっそ、会場に実験機材をみんな持って行きたい気分だ。
会場に来ていたスターバックスの緑のキュートな移動販売車(ワゴン)のように、実験室も移動できたら、どんなにかいいだろう。


そんなわけで、今日は早々に引き上げてきた。

神戸は暑くて、外でじっとしているだけで汗がにじんでくるほどだったから、自分はもうどこかへ観光へ出る気も起きず、今日は尊敬する大先生の講演を聞いた後、昨日出会った海外の共同研究者と午前中ずっと話をして、実は同じホテルに止まっていたことに、今朝になって気づいた前の大学の後輩とお昼を食べ、あとはそのまま空港に向かった。

空港についたのは14:00時だったのだが、実は飛行機そのものは19:30発なので、まだ相当時間があった。それでも自分は、とにかく帰ったらすぐにでもしたい実験だけが頭を巡っていたので、とっとと手荷物を預けて、待合室に入った。

待合室は無人と言っていいほどで、奥の一角に、沖縄行きの飛行機を待つ一群が、いかにもバカンスといったくだけた格好で、ヘラヘラしながらたむろしていた以外は、静かなものだった。札幌行きの飛行機は、沖縄行きの次になっていたから、自分は場違いなものを大いに感じながら、沖縄行きのグループから少しずれる形で、ひっそりと椅子に座っていた。

時間が余ってしょうがなかったので、常々読もうと思って読めなかった文庫を2冊読んだ。

ひとつは「告白」。
マアマア面白かったが、話は相当テレビでもやっていたので、ストーリーの意外性は残念ながら全くと言って感じなかった。物語が、主要人物の独白のスタイルで綴られていくのは独特で、サスペンスとしては斬新だったが、一人称というスタイルの弱点で、情報量が少なく、話がどうしても「後出しジャンケン」になってしまう。

つまり、伏線が少なく、展開をドラマチックにするために、あとから、前段階からは予想できない、リアリティーの少ない、奇想天外な展開を持ってくるしか無くなってしまう。

この物語の結末も、教師森口が、ある意味超人的な観察眼と、判断力、洞察力、そしてなにより、想像を絶するほどの陰湿さを持っていなければ至れないと思われるもので、それは物語の中で語られる、彼女のリアリティーからは、想像できないものだ。

これで、この森口が、最初からジェームズ・ボンドとか、シャーロック・ホームズ張りの経歴の不明さと聡明さを持っていればまだ救われたのだが、苦難に満ちた人生が詳らかに語られてしまっているので、それも期待できない。

結論としては、このスタイルで、いいサスペンスを書くには、もうちょっと工夫がいるかも知れないとうことだ。一人称は、携帯小説やライトノベルで最近は多用されており、そういった方面からの読者にとってはとっかかりやすいかもしれないが、読書が好きになってきて、ほんとうによく出来たサスペンスに出会ったら、その完成度の高さに、感動を通り越して、ぞっとするはずだ。


というわけで、新鮮さは感じたが、二作目、同じスタイルで書いたら、あまり期待できない気がする。この作家の今後に期待。もう欠かないだろうな、このスタイルでは。書き続けたら、多分飽きられてしまうだろう。


一方で、もうひとつはエッセーの「おぱらばん」。堀江敏幸という作家が書いた話で、これは特に良かった。自分はこの人の文体は、とにかく好きだ。なにも起きなくても、この文体の海に沈んでいるだけで、幸福を感じられるほど。ただ文字の列を目で追っているだけで、ゆったりとしたそれでいて稠密な音が、頭の中に響いてくるようだ。

12のエピソードから構成され、その多くはフランス留学時代のもの。日常からの、出来事の切り取り方も素敵だし、その文章を彩る、当時読んだであろうフランス文学からの印象的な引用が、絵画を彩る額縁のように、物語に奥行を与える。日常なのに、平板的にならないのは、彼の引用があまりに適切なためだろう。フランスという国、特にパリという街が、実は今も小説の中にあるのではないかと錯覚させられてしまうそんな素敵な小品群。


そんなこんなを読み終わって、大学もどってきて、実験を再開。

大腸菌を起こします。

フランスのエスプリよ、また今度。

2010-08-21

海外に出るためのいろいろな手段

「もし海外に出るのならあと一年」

という先生の言葉を受けて、自分なりにその手段を少しづつ調べている。

とは言っても、その際に一番大切なのは自分自身の実績だそうなので、論文をさらに積み上げるのが近道に違いないんだそうだが。

先生にまず紹介されたのは「アレクサンダー・フォン・フンボルト財団
http://tokyo.daad.de/japanese/jp_scholarship_avh.htm

駆け出し研究者 (ドクター取得後4年未満) から、立派に中堅クラス (4年から12年) まで、幅広く支援している。

自分が使うとしたら、"駆け出し"向けの二年コースになる。
月 2250ユーロ = 24.5 万円 位だそうだ。
十分なようにも思えるが、物価が高いヨーロッパであることを考えると、決して高い方ではないのかもしれない。

ただ、この基金のすごいのは、その他の支援が充実している点。

1. まず、受け入れ先の研究機関に、研究費として、月8万円が支給される。

2. さらに、本格的な研究に入る前に、研究者と、その配偶者のために、数カ月間の“徹底的な”語学教育期間が設けられる。

3. 研究者は、第三者からの支給が無い場合には、一括になるが、旅費の支援が受けられる。

4. 三ヶ月以上家族が滞在する場合には、家族に対する支援が出る (配偶者一人当たり月3万円、子ども一人当たり月2万円)


すごい。これなら生活できる。

先生によると、こういう制度を作ることで、海外から人材をドイツに呼び寄せ、架け橋になってもらおうという狙いがどうもあるらしい。


日本の研究者支援で、ここまでしっかりしたものは、おそらく無いんじゃないだろうか。

ていうか、こういう制度にしてもらわないと、研究者は人生捨てて研究するしか、なくなるよね。


おそらく日本だけからじゃなく、他の国からも応募はあるだろうから、先生曰く、結構難しいかもしれないということだ(彼は留学時、獲得しておられたそうだが)。

もっと簡単なのもあるそうなので、そちらの情報も集めてみようと思っている。


まずは、実績を積む。
そして、
受け入れ先に、アピールできるだけの仕事をする。

かなあ。

2010-08-08

English 再び!

8月22-24の間、神戸で開催される国際免疫学会に参加する。

国際学会ではあるのだが、日本でやるので、なんだかありがたみも薄れるが、それでも外国人は一杯来るだろうし、公用語は英語だろうし、プレゼンを準備する分には変わらない。

前回の初海外出張を、なんとかかんとか乗り切ったことに調子にのってしまい、今回もオーラルで演題を出してしまった。

みんなそうするのだろうと思っていたら、あとで、いつもオーラルの先生まで、今回はポスター発表にしたと聞いた。


……不甲斐ない!


前回、国際学会に出て、つくづく思ったのだが、日本人ほど、自分が英語をできないのを気にする民族もいないんじゃないだろうか?

正直、ああいうところではいろんな英語が飛び交っていて、発音はほとんど母国語、みたいなエキゾチックな英語が至る所でかわされている。

それでも言葉は通じるのだし、会話はなんとか成立するのだし、それで、いいのではないかという気がしている。


そもそも、自分の国の言葉ではないのだから、うまくしゃべれなくって当然だ。
それでも英語で伝えるしか無いのなら、逆に伝わりさえすれば、それで十分なのだ。

綺麗な英語より、伝わる英語。

そう思わなくっちゃ、Far East の孤島の住人としてはやってられない。

2010-07-29

リベンジ!

最近、切片in situの系を立ち上げようという話が出ている。

モノクロづくりの系はもうしっかりと出来上がって、面倒さえ我慢すれば、モノクロは何時でもできるようになったのだが、今度は、そのモノクロの反応を裏付けるためのin situ がどうしても欲しくなった。

抗体で切片を染める場合には、当然RT-PCRで発現のあるところを中心に染色するのだけれど、染まったとしても弱かったり、Back ground とあまり差がない場合には、本当にこれが染まりなの?と半信半疑のまま、実験を前に進めなくてはいけなくなってしまう。

これではダメなので、RT-PCRと免疫染色をつなぐ手法として、in situ が必要になったというわけだ。

自分も修士の時、この方法は試してみたことがあったけれど、結局うまくいかなかった。

今回は、元某抗体メーカーの先生という、力強い助っ人を得て、このブ厚い壁に再挑戦することになっている。

とりあえずのトレーニングとして、マウスの膵臓を取り出し、ランゲルハンス細胞のインシュリンを検出してみるつもり。プローブは既製品で、これでちゃんと検出できることを確認し、しっかり度胸をつけてから、目的の遺伝子に挑戦してみようと言うことになっている。

なったって始めてだから、まずは、乾熱滅菌できる染色バットを買わなきゃ。

色々と物入りだ。

2010-07-24

進路相談室

最近、真面目に留学先を考えている。

来年一年は、一応人件費がついたので、今いるところにとどまってはいられるのだが、そうは言っても、一年間、のうのうとと研究しているわけにもいかず、その間に次の行き先を決めておかなくてはいけない。

先生と相談した感じでは、ひとつはドイツ。

Max Plank 研究所、という、日本で言うところの理研に相当するような研究所。起源を遡れば、ドイツ帝国の皇帝の諮問機関にまで遡るという由緒ある組織。

なんか凄そうなんだけど、日本人も結構行っているし、ポスドクが多くて年齢層が高いので、本当に勉強になりそう。

ちなみに、研究所の名前になっているMax Plankという人は物理学者で、量子力学の入口を作った人。この研究所の物理学部門にはアメリカ亡命前のアインシュタインがいたので、この物理部門は「アインシュタイン研究所」とも呼ばれているとか。

アインシュタインの銅像とか、きっとあるんだろうなあ。


もう一つがエモリー大学

ここには、B細胞のクラススイッチを発見した、高齢の、しかし、まだ現役バリバリの先生がいる。こちらも、少なくとも3人程度のポスドクはいて、バリバリ仕事をしている。規模としてはドイツの研究所の比ではないが、先生の名前としてはこっちの方がはるかに大きい。

ただ、高齢というのはやっぱりちょっとネックで、正直なところ、何時、引退をされるかわからないし、ポスドクの受け入れの間口としても、大学は研究所よりは、やはり小さい。

そもそも受け付けてもらえるかさえ、疑問だ。

どっちもウナギをやらせてはもらえそうで、その点はいいのだが、果たして、どうしたものか。


今のところ4:6で、ちょっとドイツリードかな。

タコのパウルくんにもあってみたいし……。



でもまずは、エイゴ、勉強しないといけませんけどね。

2010-07-11

RADWIMPS

Radwinps というバンドが最近気になっている。

マニフェスト」という曲を最近出して、マニフェストとは言いながらも、男の子が、好きな女の子に「僕が総理大臣になったら」という歌い出しで、誠に個人的な約束をしまくる歌詞で、皮肉というか風刺というか、聞いている方をニヤリとさせてくれる。

その一つ前の「携帯電話」という曲も、なんとなくブリティッシュな軽いノリの曲にのせて「こんなものがなければ/今日も僕がひとりだと/思い知らされることもなく/いきていけたんだろう」と、期待していた電話がかかってこない日の、なんともいえない苛立がうまく表現されている。

このバンド、最近メジャーになったのかと思ったら、Wikiによると、デビューは2001年らしい。ボーカルの声が、女の子のように高い裏声なので、やさしい曲が多いかと思いきや、紹介した携帯電話のような曲よりむしろ、ちゃんとしたロックの方が多い。

バンドメンバーは全員、レッチリのファンなんだそうな。
なんか、聞いていて納得。

下に紹介したのは、最近のアルバムに入っている「おしゃかしゃま」という曲。
詩も曲も秀逸。人間って、ほんとに勝手だなあ、と思わせる。

久しぶりに、曲をまとめ買いしたくなるバンドを見つけた。




2010-07-10

状況報告と、O氏への賛辞

あくせぷとされたよん。

そのうち送ります。


トマト、ごちそうさまでした。

自分でも山ほど食べましたし、おすそ分けした研究室の御婦人方は、
「むかしのトマトの味がする!」と感動しておりました。

確かに、濃いいトマトの味がして、冷やしてもしっかり酸味と香りを感じました。
チーズ乗っけたら、さらにうまかったろうな~。

ではでは。

2010-06-16

投稿しました

論文を再投稿。

昨日の午後、先生に、「明日投稿するから、Figをチェックしておいて」といわれたものの、何たってワールドカップの昨今ですし、夕べはそれどころじゃなかったのです。

研究室の大きめのテレビで、「どうせ負ける、どうせ負ける……」とつぶやきつつ90分間、僕らは戦いました。

結果は日本人ならみんな御存知の通り、日本の勝利。

中津江村、ゴメンナサイ。

そんなわけで、昨日は気持ちよく深夜の大学前の通りを歩いて家に帰ったのですが、
今朝は今朝で朝から解剖が入り(二日連続)、お手伝いに入り、結局それが終わってから慌てて3時間ほどでPNASの投稿規約をチェックし、自分のFigと照らし合わせ、(涙し、)フォントサイズを1.5倍にし、レイアウトを変え、やっぱり変えなくて良いやといわれ、修正し、Figのサイズは横幅8.7cmが基準だからと言うことで、フォントを大きくしたのに、画像のサイズをさらに小さくしなくてはいけないというジレンマを抱えるはめになり、それの解消のために胃の腑が転げまわるほど苦闘し、悶絶し、テンションの高いフジファブリックの曲をすっかり聞きつぶし、すったもんだの挙句、ようやく午後二時に『投稿しました』と、先生からフィナーレを告げるシンプル・伊豆・座・ベストなメールが帰ってきたのでした。

その間、腐れかけのマンゴープリンのような僕の集中力を支えてくれたのは、昨夜の本田の日本人らしからぬ、点を取り慣れたスタープレーヤーのようなゴールと、岡田監督の前歯が控えめに主張したスマイルと、机に飾った探査機“はやぶさ”の最後の写真だったりするのです。

ハヤブサ最後の映像は、昨日は各局放送していましたが、中でも一番良かったのがNHKです。
7年の使命を終えた探査機が夜の砂漠の大気に触れて、バラバラの炎の粒になって、夜の闇に消え入ろうとしたところに、またたく無数の炎の粒の中から、ひときわ大きな光が抜け出してきて、意思を持つもののようにまっすぐに、砂だらけの冷え切った夜空の向こうに突き刺さっていく光景が、はっきりと映像に捉えられていました。

おそらくあれは、「ダーウィンが来た!」でもおなじみの、真っ暗闇でも何でも見える、超高感度カメラではないかと、勝手に思っていたのであります。

(あんなものが仮に普及した日には、日本から、デリカシーと言うものが、跡形もなく消えてしまうに違いありません。夜の闇も、もはやあなたを守ってはくれないでしょう。酔っ払って裸踊りでもしようものなら、まるで昼間の熱にうなされた白昼夢のように、曖昧な記憶と白いBack groundの中、それは、NHKアーカイブスに永遠に記録され、You tubeで赤い「Bad!!」の棒グラフが、カンヌ国際映画祭のレッドカーペットよろしく、地の果てまで続いていくでしょう)

他の局のはそれに比べると、ただのしくぢった打ち上げ花火のように、虚しさだけが伝わってくる切ない映像が多かったです。

ビバ、NHK!


なんでこんなに文章のテンションが高いかというと、昨日は結局、5時間程度しか寝ていないためです。

今日こそは寝ます。

んでは!

2010-06-04

先月の読書

読書メーターの機能で、先月読んだ本をまとめてみた。
結構多かったな。

最近は、後輩の何人かが、本をよむのにハマっているらしく、人の本棚からちょいちょい本を持っていっている。

こちらも負けずに読み続けねば!



5月の読書メーター
読んだ本の数:10冊
読んだページ数:2996ページ

容疑者Xの献身容疑者Xの献身
知り合いに借りて。映画ではすでに見たことがあったが、実際に読んでみて、改めてトリックの出来の良さ、ストーリーの組み方に関心。映画が、原作をできるだけ忠実に踏襲してつくられていることが良くわかった。しかし、天才のしくんだシナリオにしては、結末が、悲しいなあ……。
読了日:05月29日 著者:東野 圭吾
ヴィンランド・サガ(2) (アフタヌーンKC)ヴィンランド・サガ(2) (アフタヌーンKC)
主人公の少年時代、父との思い出がメイン。『本当の強さ』を見せつけられる思いがした。
読了日:05月28日 著者:幸村 誠
ヴィンランド・サガ(1) (アフタヌーンKC)ヴィンランド・サガ(1) (アフタヌーンKC)
「プラネテス」ですっかり好きなってしまった幸村誠の作品。中世、後にヴァイキングと呼ばれる北欧の一団に所属する、殺意に燃えるひとりの少年が主人公。父の仇であるその軍団の長に褒美として常に求めるのは、彼と決闘する権利――。ところどころ残酷なシーンが出てくるが、グロテスクと言うより、現実的。中世の戦闘はこうだったのだろうなと納得させられる描写に関心。
読了日:05月28日 著者:幸村 誠
プラネテス(4) (モーニングKC (937))プラネテス(4) (モーニングKC (937))
木星往還計画始動。ハチはついに、フォン・ブラウン号に乗り込み、地球圏外へと旅立つ。残された仲間、それぞれの戦いと、行き着いた答え。魅力的ないくつもの回答が胸をとらえて、離さなかった。
読了日:05月28日 著者:幸村 誠
プラネテス(3) (モーニングKC (863))プラネテス(3) (モーニングKC (863))
自分の力だけで生きてきたと信じているハチは、タナベの言う「愛」に反発する。宇宙は暗く、人間を拒んでいるようで……。
読了日:05月28日 著者:幸村 誠
プラネテス(2) (モーニングKC (778))プラネテス(2) (モーニングKC (778))
死に瀕するような事故のあと、自分との葛藤を続けるハチと、温厚なユーリ、チームの”姐さん”フィー、新人のタナベ。誰もが魅力的で、自ずと誰ものファンになってしまう
読了日:05月28日 著者:幸村 誠
プラネテス(1) (モーニングKC (735))プラネテス(1) (モーニングKC (735))
「好きな漫画なに?」と聞かれたら、間違いなく、答える作品。ちょっと未来の、確実にくるであろう世界。宇宙ゴミを回収する会社の会社員、星野八郎太<ハチ>が主人公。スーツの外には死が待っている宇宙の中でハチと、デブリ課の仲間たちは今日も廃棄衛星を拾い続ける。
読了日:05月28日 著者:幸村 誠
ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ (角川文庫)ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ (角川文庫)
理由もなく戦い続ける少女と、それに引き込まれてしまった男子学生。御飯食べて,学校に行って,九時くらいから、ぼちぼち奇怪なチューンソー男と戦って。それでも十分に痛い日常の中で、生きていることを実感する不思議。なんかよくわかんないけど,戦い続けるのが青春なのかなって,思わされた快書。
読了日:05月20日 著者:滝本 竜彦
温室デイズ (角川文庫)温室デイズ (角川文庫)
自分の中学が取り返しの付かないところまで荒れ始めているのを強く感じたみちるは、思わずそのことを,クラスのみんなの前で口に出してしまう。それをきっかけにして執拗ないじめが始まり……。みちる、そして,それを見守り,ともに苦しむ優子の視点から綴られる、卒業までの約半年間の戦いの記録。瀬尾まいこさんにしてはちょっと重い。でも彼女だからかけたと思うような、現実的で、
それでいて希望のある結末に救われた。
読了日:05月16日 著者:瀬尾 まいこ
四度目の氷河期 (新潮文庫)四度目の氷河期 (新潮文庫)
自分がクロマニョン人の息子だと知ってしまった少年の青春物語。人とは違う自分に嫌気が差し、何も違わないと言う、ガールフレンドの言葉に戸惑い。だれにでもありそうでない思春期を追っかけていくような気分で読了。
読了日:05月06日 著者:荻原 浩

読書メーター

2010-04-03

お父さんニューロン

ネイチャーに面白い記事が載っていたので。

マウスの夫妻が子供をうんだとき、おすは鼻先で巣を掘り返して、整える仕事をするという。
でも、そもそもへその緒でつながっていたメスと違い,おすマウスと,子供との関係が、どのような仕組みで認識されているかについては,実はあまり良く解っていない。

カナダのグループは、おすマウスが,生まれたばかりの子供と一緒に暫くいる状態にあると、新しい二種類のニューロンを数週間で発生させることを発見した。そのニューロンの一つは嗅覚に関係していいて,目の前の子マウスを自分の子供と認識するのに重要な働きをしている可能性があるという。

めすマウスでは、出産に伴うホルモン(プロラクチン)の変化で、やはり同様に,新しいニューロンの分化が起こることが知られている。プロラクチンレセプターのノックアウトマウスを使った実験では、どうやらオスでも、このホルモンの変化がニューロン新生に関わっていそうだ,ということだった。


夫から父になるために、ニューロンの新生まで,起こってるなんて、思いもよらなかった。
成長するのは,子どもだけではないんだね。

ちなみに、この仕組みは、人間にも存在する可能性が十分考えられるそうです。

俺にはなくて,君らにはあるニューロンが少なくともひとつ以上,ありそうだね。

2010-02-26

フロスト X ニクソン

サザンブロット待ちで映画鑑賞...。


いーじゃん、夜中だし……。



前代未聞の、任期中における大統領辞任にまで発展した、最大の政治スキャンダル、「ウォーターゲート事件」で揺れるアメリカ。

当事者のニクソン大統領は、辞任したものの、事件の詳細については一切語ろうとせず、敏腕記者達からの幾多の取材にも、謝罪の言葉ひとつ、漏らすことはなかった。


その様子を、遠くオーストラリアのお笑いショー番組の楽屋裏で見ていた、人気コメディー司会者のフロストは、ニクソン大統領の一挙手一投足に注目するアメリカメディアの様子を見て
、「これは視聴率になる」と確信し、勇躍、ニクソン元大統領へのインタビューを企画する。

しかし、元々政治向きではないフロストに、スポンサーはなかなか付いてくれない。ニクソン側は出演料として60万ドルを請求し、フロストはそれを合わせて、200万ドル近い制作費を自身の全財産をはたいて、そのたった一度のインタビューのためにつぎ込むことになった。

しかも、その時になって、元々出演していたテレビ番組の契約打ち切りが相次ぎ、フロストは当に司会者人生の瀬戸際に立たされる事になる。


インタビューが始まると、早期の政界復帰をもくろむニクソンは、自身の政治家としての貢献を強調し、フロストは全く歯が立たない。ニクソン側の思うつぼに陥ったまま迎えた、インタビュー最終日、収録のテーマは“ウォーターゲート事件”に絞られた……。


--
政治ドラマなのに、この事件、詳しく知らないのに、思わず見入ってしまった。
政治家と、司会者のインタビューの裏に、こういう駆け引きがあるって事を始めて知った。

おもしろかった~。

2010-02-22

だってネコの日だし

【今日やったこと】

LR-PCR。

ロングレンジ、です。
みぎひだり、では、ありません。

◇◇◇


だって、ネコの日だし。

NHKで、こんな面白いサイトやってたよ。

「デジタル猫暦」なそうな……。
http://www.nhk.or.jp/digital/pr/catcal/#/22


ところで、猫の日は、何と言って祝えばいいのだろう?

あけまして、猫の日?

メリー、猫の日?

つつしんで、猫の日?


ちなみに犬の日は11月1日だってさ。

待つか……。

2010-02-21

結局

さまよいませんでした。

「……よく、一発でこれましたね」


……ほめられちゃった。

2010-02-20

サマヨエル

【今日やったこと】

セルソート。

……場所、わかんねえ。

◇◇◇


大学のoldなソーターがついにダウンしたので、
隣の大学のソーターを借りに行くことになった。

行ったこともない、会ったこともない人の力を借りて、実験してきます。

メールでやりとりした感じでは、セルソーターの専門家で、経験も豊富で、かなり詳しそう。

土曜日に、働きに出るなんて、すごいねえ。


最大の難関は、何せ行ったこともない研究室なので、場所が全く解らないこと。

……サンプル持って、右往左往すること、必至。

2010-02-15

送れます?

【今日やったこと】

PCR -> southern

北の国でも。


◇◇◇


予定どおり行けば来週サブミット予定。

無事アクセプトされたら、関係者各位には、別刷、送ります。

……ひょっとすると、ご迷惑かとは存じておりますが。

2010-02-07

ちりも積もった

【今日やったこと】

MACS -> PCR

アルファベットばっかり。

◇◇◇


リンパ球を、A遺伝子と、B遺伝子と、C遺伝子が出ているのに分離するために、
MACSを行っている。

抗体に磁石を付けて、くっつく物と、くっつかない物に分ける。
磁石にくっつく物は、抗体がくっついている物というわけで、それで、遺伝子が出ている細胞と、出ていない細胞に分けていくわけだ。

実際には、それをいくつか組み合わせて、細胞を分離していく。

今やってるのは、

Bに対する抗体で染色 -> MACSカラムを通して、磁石にくっつかない物 (Bが出ていないもの)とくっつく物に分け、くっつかない方をAに対する抗体で染色 ->もう一度カラムに通して、くっつく物とくっつかない物に分ける。

という二段構えの方法。

自分で流れを理解するために、フローチャートを書いてみたりするのだけれど、まるでパソコンのソフトウェアの設計図みたいで、自分が今何の作業しているのか、ノートを見ていて解らなくなりそうだった。

ただでさえ、汚い字なのに、それに汚い絵が浮かんでいる。

汚いノートが積み重なって、もはや三年。


……ただの、ゴミの山だ。

2010-02-05

○○します!

【今日やったこと】

抗体染色
ああ、懐かしや。

怒られたっけ。

◇◇◇


年度末なので、研究費稼ぎのために来年の実験計画書を書いている。

研究は継続なので、自ずと、去年のを参考にして書くのだが、これがまた、何故だか気恥ずかしい。

まるで、歳の終わりに、去年の正月の抱負が出てきたみたいな。
「なんだ、ちっとも達成してねえじゃん」
同じような内容をまたもう一度計画として盛り込もうとしている矢先に気づかされる。

こうして、進んでいるんだか、いないんだか解らないうちに、一年が過ぎ去ってしまった感じがするのは、あんまり嬉しくないので、無理矢理にでも、前に進んだところを捜してみる。

ひとつあった。

“モノクロ抗体を3つ作る”

この計画を掲げた当初は、抗体なんて作ったこともなく、自分で無理だろうと思っていたのだが、気づいていれば(使えるかどうかは別として)とりあえず、3つ作ってしまっている。

あの熱い夏、捌いたこともないネズミを捌いて、リンパ節、取り出したっけ。

生臭い、セピア色の思いでが、走馬燈のように駆け抜けて、ウナギの組織を染色する、タイマーが呼んでいる。

2010-02-04

あたらしもの

【今日やったこと】

抗体染色。
そまりわるし。

◇◇◇


また新しいことを始めてみました。

今回は単に、プロトコールを載せてるだけのブログ。

料理のブログがあるのなら、プロトコールのブログがあったって良いかと思って。

自分のノート代わりにもなるしね。

2010-01-29

Broken down

【今日やったこと】
RT。

Next論文計画進行中。
今のも完成していないのに。

◇◇◇


今日はセルソートをして、
絶対に決めてやると気合いを入れて学校に来たのに、

来てみたら机の上に、

「須藤さんへ
セルソーターが壊れたと、技官さんから連絡がありました」

秘書さんの小さな字で、ポストイットに。

今日は、代替のセルソーターを持っている学部を捜すのに、奔走しました。

2010-01-22

とんとん

【今日やったこと】

PCR
昨日のは、余計なバンドまでついてきた。

自信喪失と回復と、


◇◇◇


先日、川で動物を捕獲する際の、役所への申請について説明会があり、お昼過ぎから札幌駅近くのビルに行ってきた。

川で動物を捕獲する時は、動物の種類によっては、特別許可の申請がいる。
ウナギは、立派な水産資源なので、漁法、漁具、採取区域などを道に申請し、知事の許可を受けなくてはならない。

案の定、全く慣れない世界の話しだったため、なかなかついて行けなかったが、自分の研究に直結する話しだったので何とか寝ないで聞くことが出来た。

さて、その後、説明をして下さった道の関係者の方にお話を聞けた。
実は偶然だったのだが、この方には以前に、ウナギを捕獲する際の許可関係の質問をメールでさせていただいたことがあり、そのお礼をする必要もあって、声を掛けさせていただいたのだ。

向こうも覚えていて下さった。

あらかた挨拶を済ました後、この方なら知っているかと思い、ウナギの幼魚の効率の良い捕獲法について図々しくも質問させていただいた。

「あ、それなら、いい人を紹介しましょう」
その方はすぐにそう返事して下さった。
そして、ちょっと待っててと言って、そそくさと説明会場の片付けを済ませると、
「じゃあ、行きましょう」
と、先に立って歩き始めた。

向かったのは、ビルの4階。
廊下の突き当たりにせかせかと歩いていくと、
「……ここです」
ドアには、とある漁業関係の独立行政法人の文字。

ドアをノックすることもなく、中に入って行かれる。

「こんにちわ」
案内してくださった方は、そこの職員の方と、二言三言話したあと、
「ウナギに詳しい人、いる?」
と、尋ねてくださった。

職員の方が指さしたのは、奥の方に座っておられた若い方。
「……彼が、良く取りに行ってるよ」

すぐに僕に引き合わせてくださった。
「……じゃあ、僕はこれで」
案内してくださった方は、そこで、じゃっと片手を上げると、風のように去って行かれた。

「……じゃあ、ご説明しましょう」
若い職員さんは、早速僕を部屋の少し影になったところにある応接スペースのような所に案内してくださった。マックにある、二人がけの対面のテーブルのような小さな席。彼はそこに、さっきまでちょうど見ていたという、ポストイットがたくさん貼られた資料を広げて見せた。

「……これが、ウナギの漁具です。で、これを使って泥の中を……」
彼は、網のついたカゴのような漁具を指さし、ウナギの捕獲法について説明してくださった。

僕はもう、長いこと、ウナギの幼魚の捕獲を夢見ていた。
海外のグループはみんな幼魚を使っているのに、自分たちはずっと成体しか使えなかった。
だから、実験結果が異なると、一体全体自分が悪いのか、それとも幼魚と成体の違いなのか、はっきりしないことが多く、すっきりしなくて具合が悪いのだ。

僕は半分興奮していて、必死になってメモを取った。
その様子に、説明してくださった若い職員さんは、些かあきれた様子ではあったが、
「……後で、コピーあげますよ」
と言って下さった。

彼は、その上に、夏になったら、おそらくまた調査がはいるから、その時に見にいらっしゃいと言ってくださった。僕は、はい!と思わず二つ返事で答えてしまった。

そんなこんなで、ビルを出た時にはすっかり日が落ちていた。

薄暗い都心を歩きながら、ヨドバシ脇のマックに入り、コーヒーを飲みながら頭を冷やした。
まだ、なんか身体の底がぼおっと熱ったような感じで、忙しさが過ぎ去った後の余熱が抜けきらない感じだった。

でも、それが過ぎ去ってしまうと、物事があまりに上手く進んだうれしさと、ほんの僅かばかり恐ろしさを感じて、嬉しさを戒めるように下唇突き出した早歩きで、冬空の街を歩いた。

2010-01-21

ダーウィン再会

【今日やったこと】

セルソート -> RT -> PCR
まだ終わらない。

クリヲスタット。

◇◇◇



セルソーターの待ち時間は、なんだかんだで13時間ある。
その間、他の仕事が出来るわけではなく、機械にずっと張り付いていることが多い。

当然、飽きる。
だから、最近、ソーター室に行く時は、ウォークマン(iPodではない。天の邪鬼ですから)と、何らかの本を持って行くことにしている。

最近頑張って読んでいるのが、『種の起源』。
言わずと知れたダーウィンの本で、進化のバイブル中のバイブル。

今頃読んでるのか、と言われても仕方がないが、実は今までちゃんと読んだことがなかった。
その理由が、“読みにくい”。

岩波文庫版の物を一度開いてもらえば解るが、何が言いたいのか、すぐに伝わってこない文体で、ただでさえ長いのに、頭に入っても来ないのだ。

訳者の先生はおそらく、ダーウィンの古い英語の文体を忠実に訳したのだろう。
おかげで、読まなければいけない本ではあるのだが、偉くハードルが高い。

今読んでいるのは、今年出た新訳版。
それでも長くて、ちょっとわかりにくいのは変わらないけれど、大分わかりやすくはなっている印象。

ダーウィンて、偉い人だったんだなって改めて思う毎日。
大量のデータと、知見と、考察の渦に放り込まれたような感覚。

最も古い、近代進化論の本なのに、今の議論をほとんど網羅している、このすごさ。

その後の科学者は、何やってたんだろ。


これからの科学者は、何できるんだろ。
ダーウィンの後追いも覚束ない日々。

2010-01-18

いるいる

【今日やったこと】

説明会。
いかにして、うなぎを捕るべきか。

非常に有意義。


◇◇◇


ヤフーニュースを見ていたら。

……ああ、いるいる。こういう人。

ウチの後輩。


職場で暴走中偽カツマー
AERA1月18日(月) 13時 1分配信 / 国内 - 社会
──あなたのまわりにいませんか?
実力もないのにプライドが高く、仕事を断り、口だけ達者な社員。
それはもしかしたら「偽カツマー」かもしれません。──

 机のあちこちに前向きなフレーズが書かれた付箋。ビジネス書がずらりと並んだ本棚の中央には、学生時代の部活動の記念写真と仲間からの寄せ書き。「努力家で尊敬されている私」をアピールしている机の持ち主は、サービス業のマーケティング課長エリコさん(34)の部下(25)。入社2年目だ。
 入社してすぐに彼女が宣言したのは「脱コスト」。時間の有効活用や費用対効果という用語が飛び出し、日報の書き込みも「仕事の意義とは……」と哲学めいていた。ぱっちりアイメークとショートパンツという見た目とは裏腹に、「よく勉強してるな」が第一印象だった。
 しかし、締め切りを過ぎても企画書は上がってこない。
「考えていたら時間内にできませんでした」
 そんなことが数回重なり、エリコさんは悟った。彼女が主張する「脱コスト」は、仕事を効率化して時間内に仕上げることではなく、月給を時給換算してそれを超える仕事は放棄するという意味。あくまで自分ベース。そうやって仕事を「脱」して得た時間は英会話学校や異業種交流会でスキルアップしていると豪語するが、その割には仕事にフィードバックがない。

■上司の誘いにも断る力

 彼女は経済評論家の勝間和代さんの著書を愛読している。たしかに勝間さんも“効率化”を唱えているが、それを自分に都合よく解釈しすぎじゃない──? そもそも勝間本ではビジネスに臨む基本姿勢を説いているが、彼女は「ほうれんそう(報告・連絡・相談)」すらできず、わからないことがあっても質問しない。新規顧客の開拓のために片っ端から企業に電話をかけるよう指示しても、いつまでたっても受話器を取らない。
「部長がいるとかけづらくて」
 けんもほろろに断られる様子を上司に聞かれるのが恥ずかしいという。プライドが高く、みじめな姿をさらさない。そのくせ「断る力」だけはしっかり身につけている。女性が2人だけの部署だから腹を割って話そうと飲みに誘っても、「お酒は飲みません」。営業帰りのランチでさえ「ダイエットしてるんで」。
 成功者のアイコンとなった勝間さんが提供する仕事術や生き方をまねする人たちはカツマーと呼ばれる。隙間時間を有効活用し、家事をしながらオーディオブックを聞き、ネイルを乾かす間も本を読む。そして生まれた時間を、本当に自分のやりたいことのために使う。
 だが、精神科医の香山リカさんは、勝間さんとの共著『勝間さん、努力で幸せになれますか』でこう指摘している。
「勝間さんのまねをすること自体が、ある種の目的になっているような気がします。もっと言えば、本人は意識をしていなくても、勝間さんのまねをすることで勝間さんと同じ成功体験をしているかのような満足感を得ている印象を受けます」

■本音では甘えたい

 しかし、勝間さんと同じように隙間時間の無駄を削る努力をしているならまだいい。最近は、本を読んだだけで勝間さん気取りになる勘違い社員も現れている。態度は強気だが実力と実績が伴わない「偽カツマー」だ。
 人材業のミキさん(41)の男性部下(29)は優秀で勉強熱心だが、本家カツマーとは言いがたい。2年前からプロジェクトを任されるようになり、「自分が一番」と自信を強めたようだ。
「課長の言うこともわかりますが」
 と指示は必ずいったん否定。チーム仕事でも調整役でなくリーダーになりたがり、トラブルが起きると相手の理解力が足りないと一蹴する。効率第一で、後輩や契約社員のフォローには無関心。そこで突き進むならまだいいが、時々、
「力を試してみたいんです」
「退職っていつまでに伝えればいいんですか」
 と転職をほのめかす。上司をバカにした態度を取りながらも、本音では甘えたいのだ。

■勝間本を「誤読」

 それでもミキさんは、そんな部下を突き放せない。
「虚勢を張って理論を振りかざすのは、不安や未熟さの表れかもしれません」
 2年前まで労務部で社員のメンタルケアを担当していた。「ゆとり教育」を受けた世代が入社まもなく次々と産業医面談を申し込んでくる。聞くと、明らかに職務不適格で無理をしているケースが多かった。ある営業職の女性は打ち明けた。
「人見知りで上手に話せないので、鍛えたくて入社しました」
 ビジネス書やマニュアル本のおかげで就職試験は突破したが、結局ストレスで出社できなくなった。努力すればかなわないものはない。そんな風に考えたのかもしれない。
「採用側の判断ミスもありますが、社会人なんだから、苦手を克服することとお金をもらうことは違うはず」
 勝間さん本人も先の共著『勝間さん~』で、カツマーが「間違った方向に頑張る」ことを懸念している。
「自己実現や自立という名目で会社に迷惑をかけるとすれば、それは単なる独りよがりです」

■育てれば最強の人材に

 勝間本を「誤読」して増殖する偽カツマー。彼らの暴走を止めるにはどうすればよいのか。
 大手流通会社で商品企画を担当するヨシミさん(33)が女性部下(25)にアイデアを提案するよう指示すると、企画書のフォーマットがほしいと言われた。ヨシミさんが作って渡したが、なかなか企画を出してこない。背中越しにパソコン画面をのぞくと、1日かけてフォーマットを修正していた。
「このほうが効率的ですから」
 仕事の提出期限や重要性にかかわらず、「頼んだ人の役職の高さ」順に仕上げてくる。わからないことがあっても聞かないから仕事が滞る。それで残業する羽目になり、遅くまで働いているという事実だけで自分が会社にとって重要な存在だと思いこんでいる。
「残業してまでやってほしい仕事があるときは言うから!」
 ある日、思わず声を荒らげてしまった。彼女は一瞬ポカンとし、やっと怒られているとわかったようだ。一見デキる風だから遠慮していたけど、結局イチから教えないと伝わらないのだ。それから毎朝、彼女の仕事の時間割りを作って渡している。
「勝間さんが本で書いていることを、私がリアルにわかるようにしてあげればいい。彼らは素直で吸収が早いから、きちんと育てれば最強の人材になるはず」
 きつく言い過ぎたと感じたら、会社を休まれないようにフォローもする。飲みに誘っても断られるからランチを奢り、
「少しずつ覚えていこうね」
 と励ます。
「10年後は私、この会社にはいませんから」
 そんな冷たい態度を取られてもめげない。リアル上司は私なのだ。(文中カタカナ名は仮名)
編集部 小林明子

アエラの記者と一緒に
つぶやきませんか
 なんだか、増えてますよね。最近、つぶやく人々。
 アエラも流行りもんにはのろうと、本誌の記事とツィッターを連動させた企画を始めます。第1弾は、勝間・香山両氏の幸福論争。努力すれば幸せになれるのか。ご意見、つぶやいてください。今後は35歳の不安など、記者の本音を記事にします。
(1月25日号)

* 最終更新:1月18日(月) 13時 1分
* AERA

2010-01-17

雪と、神社と明かり

【今日やったこと】

論文読みまくり。
読んだふり、読んだふり

◇◇◇


昨日、もう日もとっくに暮れた時間である。
買い物から帰る頃合い、外はひどい雪だった。

家から出る時でさえ、いくらも雪は降っていたのだが、郊外のスーパーの大きなガラス張りのエントランスから見つめる外の景色は、雪と言うより、霞みのような光景だった。文字通り、視界が効かない冬の空。駐車場を照らす高出力の街灯の光りを浴びて、雪は心持ち、紫色の鈍い燐光を放っているようにさえ見えた。

僕はいつもより、少し重ね着をして、買ったばかりのフェイク・ファーのコートを羽織り、身を縮めるようにして、外に出た。扉が開いた途端に吹き込んできた凍てついた空気が、無防備な耳や頬をちりちりと冷やし、体積の小さな立方体の中に押し込まれた丸い球のような、不釣り合いな窮屈さを感じた。

何処まで続くのだろう。
分かっている道なのに、そんな気持ちを覚えるほどに、帰りの雪道は長く感じられた。行き交う車は、皆ボンネットに厚い雪を重ね上げて、髭を蓄えた遠く北国の老紳士のような、厳かな穏やかさを伴って疾走していく。ボボボ、と言う雪を踏みつけるくぐもった音が、スタッドレスタイヤ履きの彼らの足下から聞こえてきた。片栗粉を指で押しつける時の感触を、それとなく冷えた指先に思い出しながら、僕は道を急いだ。

ふと、角を曲がり、前を向いた時だった。若い3人の男女が、僕の左手の方から、目の前の長い横断歩道を渡って、僕の歩く道沿いにやってきた。彼らは僕の数メートルほど前で左折し、僕の前の道を先行して歩いていく格好になった。よほど急いでいるのか、歩くスピードも速い。3人で歩いているとは思えないほどに、せかせかと、僕の前を歩いていった。
男の子が二人に、女の子がひとり。
僕はその様子から、大学生位かと想像した。
彼らはしきりに、小さな声で何か話しているようだが、話の内容まではこちらには聞こえない。ただ、仲は良さそうだが、三つ並んだ彼らの灰色の背中からは軽い笑い声でさえ漏れるようなことがなかった。

何処に行くのかな。少し気になった。
時間は既に8時を過ぎている。彼らの様子からして、これから夜遊びに行くような浮ついた空気は感じなかった。僕は彼らの後を歩きながら、背を縮め、それとなく思いめぐらしていた。

数分が経ち、疑問はすぐに氷解した。
彼らは、少し歩いた後、3人並んで道沿いにある諏訪神社の小さな分社の鳥居をくぐったのだ。

ああ、そうか。
僕は思った。

明日は、センター試験だった。

普段は訪れる人もいない、小さな分社である。僕も、何年か前の正月に初詣に来てから一度も訪れてはいない。

雪の中にぼんやりと浮かぶ、諏訪神社と書かれた提灯が、彼と彼女らの不安げで、何処か引き締まった横顔を、一瞬照らし出した。

あんな時期もあったっけ。
僕はなんだかおかしくなった。
当事者である彼らには申し訳ないが、何で、あんなことに一喜一憂していたのか、今ではよく分からないようになってしまった。

いろいろな人生を知り、いろいろな道筋があることを知って、意味も分からず大学の偏差値と、自分の偏差値を探り、照らし合わせ、溜息をついていたあの本末転倒の一年間が、実に狭い価値観の、ひとつの表徴に過ぎないことを嫌と言うほど身につまされた。

『人生はクローズ・アップで見れば悲劇だが、引いてみれば喜劇である』
そう言ったのは、チャップリンだったか。
時間が経って傍観すれば、その記憶が真面目であればあるほど、なんだかおかしく、切ない記憶に変わっている。

彼らも、後何年か後には、今のこの緊張感が、幾段階かの発酵を経て、なんだかおかしい、くすぐったくなるような記憶に変わっていることに気がつくだろう。

そんなときを、楽しく、明るく順調に迎えられたらいいな、と、似合いもしない祈りを込めて、目をつむった。

2010-01-16

You'd Be So Nice To Come Home To

【今日やったこと】
論文読みまくり。

気持ちだけ先走り。


◇◇◇


ネットで色々調べていたら、何故か引っかかった、ジャズの名曲。
このタイトル、訳すのが難しいらしい。

でも何となく、いかにもクラシックで大人びていて、素敵な歌詞なので、だめもと訳してみた。

ジャズには、過去形がよく似合うなあ

作詞:Cole Porter 作曲:Cole Porter

You'd be so nice to come home to.
You'd be so nice by the fire
While the breeze on high
Sang a lullaby
You'd be all that I could desire

帰ってこれたら良かったでしょうに
帰ってきて、この火の傍にいられたら、良かったのに
ざわざわと胸高鳴って
ララバイを歌ったの
私が求めうるものは、あなただけだったから

Under stars chilled by the winter
Under an August moon burning above
You'd be so nice
You'd be paradise
To come home to and love.

冬空に凍える星々の下でも
空に燃える8月の月の下でも
あなたは素敵だった
あなたは楽園だった
会いに来てくれて、そして愛してくれて


2010-01-06

去年読んだ本達

読書メーターのまとめ機能を使って、
去年読んだ本のまとめを作ってみた。

これに登録していない物もあるけど、暇がないとは言いながら意外に読んでいる。

……実は、暇なのか?


いずれにしろ、読んだ本は僕の履歴。

大事にしないと。



2009年の読書メーター
読んだ本の数:20冊
読んだページ数:6584ページ

フライ,ダディ,フライ (角川文庫 か 50-3)フライ,ダディ,フライ (角川文庫 か 50-3)
愛する娘と、家族に笑顔をを取り戻すため、戦え!メタボのおっさん!
読了日:12月30日 著者:金城 一紀
ミッキーマウスの憂鬱 (新潮文庫)ミッキーマウスの憂鬱 (新潮文庫)
主人公の後藤君は、本当に困った人。ハケンと言う自分の立場もわきまえず、超現実的な学歴&格差社会のディズニーランド裏社会で、はらはらするほど突き出してしまう。でも、それが現実に流されていた周りの意識を変えていき……。ストーリーは良くある。でも、ディズニーランドの裏に関する情報は満載。後者の点で、むしろ楽しめるかも。
読了日:12月05日 著者:松岡 圭祐
第四間氷期 (新潮文庫)第四間氷期 (新潮文庫)
科学の進歩の果てに、ついに完成した「予言機械」。でも、それの描く未来が、陸生人類の滅亡を示唆していたら……。科学技術が、まだバラ色の未来を描いていた時代に、灰色の結末を予言した、公房の異色作。機械を作った科学者自らが、その合理的な予言を受け入れられずにもがく姿が、生々しい。
読了日:12月05日 著者:安部 公房
プールサイド小景・静物 (新潮文庫)プールサイド小景・静物 (新潮文庫)
妻子がありながら、自分よりずっと年下の少女と恋をしている夫。それに感覚的には気がついていながら、口には出せずにいる妻。真夜中に、夢中になって縄跳びを飛び続ける若い妻の姿が痛々しい。気がつけば溶けて無くなっている氷のような、静かな崩壊の記録。(『舞踏』)
読了日:11月29日 著者:庄野 潤三
遠き落日〈下〉 (集英社文庫)遠き落日〈下〉 (集英社文庫)
数々の難病を解決し、各国へ赴く度に国賓級の待遇を受けるまでになった野口。しかしその一方で、彼の業績に疑問を投げかける学者達がいた。その声は次第に大きくなり、彼は追われるように、自らが一度解決したはずの黄熱病の巣窟、アフリカへと旅立つ……。決して偉人ではない、生々しい野口英世の生涯の終焉。
読了日:11月28日 著者:渡辺 淳一
遠き落日〈上〉 (集英社文庫)遠き落日〈上〉 (集英社文庫)
借りた金は決して返さない。会津の貧農に生まれた野口清作は、有り余るエネルギーを研究に、そして遊興に消費していく。泥臭いほどの生命力には、ただただ圧倒。多くの人々から半ばあきれられ、そして、惚れられた男が、細菌学者・野口英世としてアメリカで頭角を現し始めるまで。
読了日:11月14日 著者:渡辺 淳一
火車 (新潮文庫)火車 (新潮文庫)
カード破産、執拗な取り立て、その後訪れた息を潜めるような生活……。誰もが浮かれた時代が過ぎ去った後、彼女たちに残ったのは、途方もない額の借金と孤独だけだった。誰をも責められない、悲しい罪の物語。
読了日:11月07日 著者:宮部 みゆき
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈下〉 (新潮文庫)世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈下〉 (新潮文庫)
閉鎖した世界の終わりに結末を見出そうとする一方の僕と、定められたタイム・リミットに向けて地底からの脱出を目指す、もう一方の僕。加速度的に進む物語に、下巻は気がつけば、上巻の半分の時間で読み終わっていた。
読了日:10月25日 著者:村上 春樹
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)
閉ざされた街の中で穏やかな時間が流れ続ける<<世界の終わり>>と、自分に内蔵されてしまった特殊技術を巡る争いに、自分の意志とは無関係に引きずり込まれる<<ハードボイルド・ワンダーランド>>。平行する二つの物語が行き着く先には、一体何が?思わず次のページをめくりたくなる作品。
読了日:10月25日 著者:村上 春樹
妄想銀行 (新潮文庫)妄想銀行 (新潮文庫)
自分の持つ鍵に、ぴったり合う鍵穴は、何処にあるのか。それを探し続ける男の物語『鍵』。 たった数ページだけど、そのためだけに、買う価値のある文庫。
読了日:10月16日 著者:星 新一
鏡の中の物理学 (講談社学術文庫 31)鏡の中の物理学 (講談社学術文庫 31)
波野光子って、字面だけ草薙素子に似てる(消えるし)。
読了日:10月15日 著者:朝永 振一郎
デッドエンドの思い出 (文春文庫)デッドエンドの思い出 (文春文庫)
恋と恋の間の空白のような時間に現れて、次へと進む元気を与えてくれるひとたち。その暖かみが詰まった表題作は秋にこそ。
読了日:10月14日 著者:よしもと ばなな
城 (新潮文庫)城 (新潮文庫)
城はいつも目の前にある。でも、いつまで経っても、それは自分の手の届く範囲にはやってこない。縛られていないようで、それは確かに自分を拘束している。融け込もうとすれば拒絶され、背を向けようとすれば迫ってくる何処にも所属できない感覚を目が回るほど長い間綴った小説。
読了日:09月30日 著者:フランツ カフカ
フランケンシュタイン (創元推理文庫 (532‐1))フランケンシュタイン (創元推理文庫 (532‐1))
怖い顔って、やっぱり損なのね……。
読了日:09月15日 著者:森下 弓子,Mary Shelley
ロボット (岩波文庫)ロボット (岩波文庫)
人間的、ってどんなこと?生き残ったロボット達の模索が、僕らにも重なる。
読了日:09月09日 著者:千野 栄一,カレル・チャペック,Karel Capek
ダーウィン著作集〈1〉人間の進化と性淘汰(1)ダーウィン著作集〈1〉人間の進化と性淘汰(1)
暑い日、ドトールで。沈没。でも、人間は、それほどサルから、遠くないって、知った。
読了日:08月31日 著者:チャールズ・R. ダーウィン
天国はまだ遠く (新潮文庫)天国はまだ遠く (新潮文庫)
なんだか、田舎に帰りたい……。
読了日:08月15日 著者:瀬尾 まいこ
アンドロイドは電気羊の夢を見るか? (ハヤカワ文庫 SF (229))アンドロイドは電気羊の夢を見るか? (ハヤカワ文庫 SF (229))
みた!みた!俺、むしろ、カエルの方だった!
読了日:07月15日 著者:フィリップ・K・ディック
ブラックホールで死んでみる―タイソン博士の説き語り宇宙論ブラックホールで死んでみる―タイソン博士の説き語り宇宙論
スパゲティみたいに、伸びます。
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