いつも通りに学会をこなした後、途中で知り合った知り合いの研究室(もちろん日本人グループ)と一緒に、街に出た。
そもそも、その研究室のグループは、乗り換えの途中で荷物がなくなってしまったらしく、今日着る物にも困る有様。とりあえず、ニ、三日必要なものを買いに出るというので、自分も、お土産を買いに行くつもりで、ついて行かせてもらった。
ホテルのカウンターで行きと帰りの切符を買って、路面電車に乗り、街の中心部へ。電車は坂を上り、林を突き抜け、ぱっと視界が開けたと思うと、山沿いに走りだす。そして、その先には、中世ヨーロッパ、という趣のプラハの町と、モルダウが横たわっていた。
買い出しに行ったデパートは、しいて言えば、でっかいジャスコ。
とにかく服屋が多くて、女ものが主。
次に、子供服。
そして、ちょっと甘いもの。
男ものは店の奥の方にちょこっと。
あるいは、全くない。
しかも、ボーダーとか、割かし、地味なものばっかり。
そういう買い物における著しい偏りは、どこもおんなじらしい。
こういうところでは、男ものは、いつも、ついでだ。
自分は、特に服を買う気はなかったので、とりあえず、手ごろな本屋に入り、チェコの絵本を一つと、小さい文房具をいくつか買った。
あと、一応、お土産にと、"チェコで売っていたパンツ"(たぶん、中国製)も買っておいた。
チェコの物価は、消して安くはない。
たぶん、日本とほとんど同じくらい。
ジーンズを買った知り合いはリーバイスで1万円前後だと言っていたし、パンツも5枚千円ちょっとだった。ただ、何が違うのか、パンツの中には、2枚で2千円もする、どう見ても普通のパンツもあり、それはお土産のネタとしては、ちょっと高い気がしたので、安い方を買ったのは言うまでもない。
その代わり、バーゲンだったのか、靴は非常に安かった。
日本では1万円前後はするだろうという、革のカジュアル靴が、6千円くらいで売っていた。
好きな人にとってはいいかも。
そのあと、チェコ料理を食べようと、2階のフードコートをうろうろしていると、あやしげなお店を見つけた
"Running Sushi"
チェコの、回転ずしだ。
あまり詳しく見なかったけれど、回っているものの中に、なんだか寿司とは縁遠いものが流れていた気がしたのと、メニューをぼんやり見ていた自分たちに話しかけてきた、板前風のオジサンが、日本語で話していた自分たちに、なぜかチェコ語で話しかけてきて、おそらくは日本人ではないことを露呈してしまっていた。
メニューの中には"Bento"という、幕の内みたいなものもあり、椅子に座っていた、二人のご婦人が、器用にナイフとフォークで、Bentoを食べていたのが印象的だった。
結局自分たちが入ったのは、セルフサービスの、飯屋みたいな料理屋。
食堂のおばちゃん、といった感じの、かっぷくのいい母ちゃんが、お玉をもって自分たちの注文を待っていたが、いかんせん、英語は通じない。
とりあえず、知り合いが近くの大学生風の若い兄ちゃんを捕まえて、英語をチェコ語に通訳させ、チェコで一般的な料理を一皿、盛ってもらった。
それが写真の料理だが、肉を、デミグラスソースみたいな肉汁のソースで煮込んだ(ような)ものと、ザワークラウトのしおしおで、なんだか紫色のものと、ちょっと甘い蒸しパンみたいな白いのが付いてきた。
肉を煮たものは、なんとなく、硬い角煮に似ていたけれど、とにかく、びっくりするほど塩辛い。
別なものを頼んだ人のは、そんなに塩辛くはなかったので、これは、こういう料理らしい。
チェコ人の、塩味に対する寛容さは、並大抵ではない。
ただ、一緒に付いてきた蒸しパンと、一緒に食べると、それなりにいい感じに感じられた。
もしかすると、原液を舐めたせいで、味覚がまひしていただけなのかもしれないが。
ホテルで食べたものの中には、こんなにすごいのはなかったので、やっぱり、実際に街に出てみないと、本当の味には会えないものらしい。
そのあと、帰り際、雨が降ってきたので、途中で雨宿りがてら、スーパーに寄った。
とにかく、食料品が豊富で、びっくりした。
黒パンが50-100円程度で、とっても安い。ワインも豊富。
冷蔵庫にいっぱい並んでいたチェコビール缶の中から、バドワイザーのもとになった、"バドバー"(左小)と、チェコでは一般的な"ピルスナー・ウルケル"(右大)を買ってきて、部屋で飲んでみた。
どちらも、しっかりした味のビールだが、ピルスナーの方が、ほんのり、酵母らしい甘みのようなものが感じられた。
これはさすがに、お土産にはできないので、ここで味わって、自分の腹にしまっておくことにした。