復帰。
でも、今年夏に控えた、引っ越しの下準備で、
泳動すらできず。
単純作業
嵐吹く
単純作業の
わびしさよ
駄作
山ほどの悩み事を土産にして
帰省したふるさとに
静かな夜更け
苦い酒を飲みながら
すでに酔いつぶれた父親と
テレビを見たまま寝てしまった母親とを見る
ぱっかりとあいた父親の口の暗がり
母親の大きな両の鼻の穴が さっきからずっとこちらを見ている
母はそうして眠ったままこたつの中で 一つ大きく 放屁した
音はまもなく静かな夜に吸い込まれるように消え
何もなかったかのような静寂が訪れる
そうだったのだ
袋こそ違えど
自分はあの放屁と
同じ腹から生まれ
何の秘術か命となり
夢を持ち野心を抱き
飢えと渇きと焦りと失望とをおぼえて
こうして今日 里帰りしては 苦い酒に顔をゆがめている
放屁と糞と尿との兄弟でありながら
何を根拠に物を知ったような顔をして
何と高邁で身の程知らずな葛藤など 自分は抱えて来たのだろう
そう考えるとおかしくなり
父母が起きることも気にせずに
僕は一人で大いに笑った
忍び寄る夜の静寂は
一人では冷たく またあまりに寒かったので
手に持った見栄とうぬぼれと知ったかぶりを炭火の中におもむろに放り込み
それをもうもうと燃やしながら 崩れゆく己を見つめていた
煙のしみた両目には
涙ばかりが溢れてきて
母親に気づかれると面倒だと思ったので
泣いているのだと悟られないように
僕は大きくあくびをした
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