未だウェスタン
あきらめない
あきらめられない
あきらめたい...?
もしも月に人が住んでいたら
いつも世界の傍らにいて
いつまでも世界の本体とは
一緒になることはできずにいる
その月に もしも人が住んでいたなら
ほほえみも涙も
戦争の炎立つ夜も
平和の基の築かれた朝も
いつも世界の傍らにいて
それを見ている立場にあって
直接どうすることもできはしない
ともに喜び祝うことも
涙を流し励ますことも
手を取り合って戦うことも
肩組み合って歌うことも
世界の傍らであるが故に
その本質とは相容れないが故に
ふれあうことさえかなわずにいる
近づいても近づいても遠ざかるのはその幻影
そもそも近づいてなどいなかったのだ
それは元々手の届かないほど彼方で、目の届かないほどの距離にいる何かに向けて美しく微笑んでいるだけだった
肩組み合って笑う彼らを
月は静かに見つめたまま
その笑いの対象にも原因にも結果にも因果のどの位置に置いても自分が関係していないことを冷たく知りながら
そして現在と過去と未来のいずれの位置に置いても自分がその場に引き出されることのないことをうすうす悟ってはいながら
それでも思わず胸を押さえて 心配だけはしていた自分の愚かさを 静かに 恥じ入っていたのです
昔長編に挑もうとして
見事に散ったテーマ
短くまとめてみたらこっちの方がよっぽどまし
(ちなみに長編の方は、酒飲みの不倫の話に発展して挫折)
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