抗体染色
ああ、懐かしや。
怒られたっけ。
年度末なので、研究費稼ぎのために来年の実験計画書を書いている。
研究は継続なので、自ずと、去年のを参考にして書くのだが、これがまた、何故だか気恥ずかしい。
まるで、歳の終わりに、去年の正月の抱負が出てきたみたいな。
「なんだ、ちっとも達成してねえじゃん」
同じような内容をまたもう一度計画として盛り込もうとしている矢先に気づかされる。
こうして、進んでいるんだか、いないんだか解らないうちに、一年が過ぎ去ってしまった感じがするのは、あんまり嬉しくないので、無理矢理にでも、前に進んだところを捜してみる。
ひとつあった。
“モノクロ抗体を3つ作る”
この計画を掲げた当初は、抗体なんて作ったこともなく、自分で無理だろうと思っていたのだが、気づいていれば(使えるかどうかは別として)とりあえず、3つ作ってしまっている。
あの熱い夏、捌いたこともないネズミを捌いて、リンパ節、取り出したっけ。
生臭い、セピア色の思いでが、走馬燈のように駆け抜けて、ウナギの組織を染色する、タイマーが呼んでいる。
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