2008-03-10

ウェポン

昔長編に挑んで、
失敗した習作の例その2

精神的に、どん底の時に書いたこともあり、
内容があんまり不健康なので
嫌な人は是非読まないで。

ちなみに、勘違いされるといやなので、挙げておきますが、
ここに挙げた独房の彼の趣味は、私の趣味とは全く一致しませんので
あしからず。知ってる人は分かってくれると思うけど。

書いたとき頭の中に思い描いていたのは
芥川龍之介の河童です。
もちろん、比べるまでもありませんが。

できるだけ、男を気持ち悪く表現してみようと思ったために
できる限りの手法を使い、
結局物語が破綻しました。


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「僕は自分が一個の核兵器だと気づいたとき街に飛び出してすれ違う沿道の人々一人一人に言ってやったんです。オレは怖いぞ、核兵器だぞって」
男は身振り手振りを交え、熱っぽく横山に語った。目はおそらくそのときの歓喜を見ているのだろうか、常にあらぬ方向を向いているが、美しく磨かれた黒いガラス玉のように濡れていた。

「沿道の人々は皆、さも恐ろしい物を見たように一様に恐怖していましたよ。中には泣き出す人もいました。いやあ、あなたにもお見せしたかった。昨日まで僕を殴っていた連中までもが」
男はそこまで言うと興奮のためかつばをごくりと飲み込み

「一様に恐れをなして、僕を避けだしたのですから。僕はおかしくて、そいつらを追いかけ回してやりましたよ。その、逃げっぷりと言ったら、他の誰より板についてたな。いや、愉快でした。」
男は楽しそうにへへへぇと笑った、ほお骨が多少でているためであろうか、年の割に深いしわがほお深く現れた。

「皆、僕の恐ろしさにやっと気づいたのでしょう。今までが今まで、ずっと僕をたいしたことのない物として軽んじてきたのですから、この発見は意外だったでしょう。それはそうです、僕自身でさえ、そのことに気づいたのはごく最近の話なのですから」

「それはいつの話?」
横山が質問をいれた。灰色の地下房には他に誰もいない。沈黙の中にその低い落ち着いた声は冷たく響いた。

男はまたへへぇと笑った。
何か恥ずかしいのか、横山から目をそらし、床に膝をついたままもだえている。

「昨日の午後、昨日の午後の話です。そう、昨日の午後、ふふふ」
男の目は、そのときいったい何を見ているのだろう。鉄の独房のつめたい天井の隅をうっとりと眺めながら、表情はゆるみきっている。

「昨日の午後、僕は一人の女性を食べたんです。はじめは指をこりこりかじって、そのうちおへそを舐め取って。頭は髪の毛が多くて、食べにくかったけど、鼻の先はなかなか食べ応えがありました。前歯でちょっとずつかじって、おいしくおいしく食べました。ほら、あそこの冷蔵庫に」
男はそう言うと、独房の隅を指さした。

「昨日の食べかけの残りがまだ入っていると思います。女性一人はさすがに僕には多すぎたので、切り刻んでばらばらにして、冷蔵庫にしまっておいたんです。これでいつでも、女の人を食べられます」
男はそう言うとまたへへへと笑った。

「いったい人間というのは、特に女性というのは、どうしてこんなにおいしいのでしょう。やせるやせると言いながら、その体は皮下脂肪の固まりです。確かに僕は、げそげそにやせた女の人より、脂肪のついたよく肥えた女の人の方が 大好きです」
男の口元はだらりとあいている。そこから唾液がどろりと漏れて、冷たい床に滴った。
男はそれを気にする素振りもない。

「ああ、いいなあ。また僕も、女の人を食べたくなってきた。ほら、あそこの冷蔵庫にです。あそこの冷蔵庫に、」
男は横山の方を見たまま、後ろの隅の暗闇を指さす。

「あるんです、入ってるんです。僕の、僕の女の人が、おいしい、」
男はまた、大きくごくりとつばを飲み込んだ。
「おいしいおんなのひとが。」

そう言うと、また、へへえと笑った。

「どんな女の人なの」
横山が再び問うた。その声はこの鉄の地下房にあって、木のような鈍い響きがある。

「よく肥えた、よく肥えた女の人です。確かに僕は肥えた女の人が好きですが、あんまりふとっちょは好きじゃありません。どっぷりでっぷりしたのが好きです」
男の口元から再び滴りでた液体は止めどなくあふれ、膝元をぬらし始めた。男はそれを、ジャケットの裾でじゅるりとぬぐった。男の髪には数本の白髪が見える。

「きみが食べた女の人はそれが最初?」
横山は男が恍惚として、いつまでも話す気配がないので、改めて聞いた。
男は横山の方をむき直すと、

「いいええ、女の人の前には、男の人も食べてみたことがあります。最初に食べたのは父親です。次に妹です。姉さんです。母さんです」
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あーあ。救われねえ。

妄想の赴くままに、筆を走らせてみました。
太った人が嫌いなのに、どっぷりでっぷりしたのが好きですって、どういう事?

まあ、前後脈絡考えてませんでしたから。

それでも、『コスモス』よりは様になった気がする。

しばらく修行します。何事も。

休暇の前に

【今日やったこと】
その他諸々
身辺整理

ウェスタン、しなかった午後。


◇◇◇


実家に...。帰らせていただきます。
数日だけど。
正月、帰ってないし。

ここまで連続で更新してきて、急に更新が止まると、
心配されるとひどいので(うぬぼれ?自意識過剰?)
一応挙げておきます。

変わりと言っては何ですが、昔、一度長編に挑んで、失敗した
物の例を挙げておきます。

あんまり不健康なので、途中で止めました。
そう言うのが嫌な人は、読まないでください。

まあ、小説って、
おおむね不健康な物だと思うけど。