鳥は空を飛ぶために
身を削り、骨を軽くしたそうだ。
浮き袋のような身体になって、長い首伸ばし
ベランダから今も空を見ている。
その空っぽの身体の中に巣くうのは今も
あの恐竜だった頃の、きびしくうつろなこころ。
足に残った鱗には、今も、中生代の温度で赤い血が流れ続ける。
ずっと昔、激しいあらしがきて、ほろんでいったかつての同胞たちの亡きがらが
忘れることを知らない大地の上に、まだ寝ころんでいるのを鳥たちは知っている。
血のにおいがする大地には、もう嫌気が差してしまった。
高いビルの窓辺につかまって、鳥たちが、
遙か下の大地を見下ろすとき
遠い過去を見るような眼差しで、目を細めるのは、そのためなのかも知れない。