2009-02-24

アラウンド・ミッドナイト

たった一つの、火鉢の暖かみでさえ、
今の僕には遠いのです

寒い日に、手袋も嵌めずに冷えた手を握りしめてくれたその感覚が
いまでもときどきポケットの中でこそばゆく蘇るのに

僕は雪でつるつるに凍った道を白い息、吐きながら
それでもずいぶん身軽な身体をもてあまし気味に家に帰るのです

何かが足りないけれど、何かを必要としていない自分がいて
そうして、足取りは変わらず、ひょこひょこと、
親父譲りの歩調で、今日も進むのです

それは進歩のようで、あるいは堕落への一歩のようで
どっちだか解らないけど、ただ、
立ち止まってはいないという、たったそれだけの貧乏揺すりのような
安心感を覚えながら

今日も一日は終わるのです。

遠い目で見た時に
僕のしていることは果たして正しいのかどうかは、解りません
でも、一つだけ言えることは
これもまた、
人生の一形態なのだと
スーパースターの陽炎のような夜の街を遠くに見ながら
一人コンビニ弁当を下げて

あたためますか、のひとことを、
いりません、と断った自分の
心の内を計りかねながら、

冷えた弁当を暖めるレンジのチャイムが
隣の部屋に聞こえそうになるのを
びくびくしながら、待つのです

絶句

にんげんがつくづくわからなくなりました

埋まれる

きみの、どうしようもない、見え透いた嘘を

たぐり、合わせていけば、いつか

真実にたどり着けると思った僕を

笑って欲しい


それは、真実を受け止めきれない

一人のうそつきが、他人の嘘の中にさえ、真実を見ようとした

逆立ちする逆さメガネの

あまのじゃくな現実逃避


何処までも嘘を吐いていけば、やがて、
嘘すら、真実に思えてしまうこの愚かな
道化師に雪ぞ降れ