2009-02-24

アラウンド・ミッドナイト

たった一つの、火鉢の暖かみでさえ、
今の僕には遠いのです

寒い日に、手袋も嵌めずに冷えた手を握りしめてくれたその感覚が
いまでもときどきポケットの中でこそばゆく蘇るのに

僕は雪でつるつるに凍った道を白い息、吐きながら
それでもずいぶん身軽な身体をもてあまし気味に家に帰るのです

何かが足りないけれど、何かを必要としていない自分がいて
そうして、足取りは変わらず、ひょこひょこと、
親父譲りの歩調で、今日も進むのです

それは進歩のようで、あるいは堕落への一歩のようで
どっちだか解らないけど、ただ、
立ち止まってはいないという、たったそれだけの貧乏揺すりのような
安心感を覚えながら

今日も一日は終わるのです。

遠い目で見た時に
僕のしていることは果たして正しいのかどうかは、解りません
でも、一つだけ言えることは
これもまた、
人生の一形態なのだと
スーパースターの陽炎のような夜の街を遠くに見ながら
一人コンビニ弁当を下げて

あたためますか、のひとことを、
いりません、と断った自分の
心の内を計りかねながら、

冷えた弁当を暖めるレンジのチャイムが
隣の部屋に聞こえそうになるのを
びくびくしながら、待つのです

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