2011-03-18

嫌な、しかし危険な前兆

自分にできることはせいぜい情報整理しか無いと割りきって、twitter上に流れる情報を逐次選んでRT、ないしマッピングする作業に従事している。

最近、ネット上を見ていると、以下のような嫌なtweetが眼に入る。

“中国人は被災者の所から配給のご飯や毛布を盗んで帰る。陸にうちあがったご遺体から時計や金品をはずし。女川、野蒜、志津川で起きている ”

このニュースは、震災にともなって解放されたあるお笑い芸人のブログのコメント欄に乗せられた情報が元になっている。この手の情報は極めて危険だ。

指摘している人も多いが、この発信者は、まだ電話が十分に復旧する前の時期に、女川、野蒜、志津川という、相当離れた箇所の情報を同時に得ていることになる。TVなどでは、この手の情報を流すことはないので、この発信者がどのようにしてこの三箇所から情報を得たのか、まったくもって不明だ。

かつて、関東大震災の頃、朝鮮人が、井戸に毒を投げ込んだという噂が広がり、それがきっかけで朝鮮人が虐殺、暴行を受けたという悲しい記録がある。

歴史的に判明していることだが、もちろんこれは風評だったのだ。
同じ被災者である者どうしが、パニックの中では殺し合うこともある。日本人は、礼儀正しく、どんな時でも礼節を失わないと海外メディアがほめたたえているというニュースばかりが流れているが、日本にも、このような歴史があることを忘れるべきではない。

今回の報告が、風評であるのか、事実であるのか、私は知らない。
でも、だからこそ、このニュースを不用意に拡散しようとは思わない。

悪い噂を流すときは、十分に注意しなくてはいけない。
それによって、傷つき、危害を受ける人間がいることを、十分に意識しないといけない。


それは、日本人同士にも、十分言えることだ。

悪い噂よりも、安否情報を。通行可能情報を。
悪い噂で人は救えないが、こうした情報は命を救う可能性が高い。