2008-03-23

○▲□ (まるさんかくしかく) -3

新たな入部者も現れず、さらに数日がたったある日、僕は教養の授業を受けるために入った講義室で、何とあのカタクリ嬢に出会った。決して華やかな格好をしているわけでもないのに、きれいな人が入ってくると、どうしてこうも、周りの空気が変わったように感じるのだろう。

その頃になると、向こうも自分のことを覚えてくれたようで、ふと目が会った拍子に、ちょっと会釈してくれた。

自分に気づいたときの、普段より目を大きく開けた表情がとても印象深くて、きれいな女の人とまともに顔をつきあわせたことのないガマ男はその間に椅子5つ分の距離が開いていたことも忘れて、まるで隣に並んで座ったかのようにどぎまぎし、授業中も、右へ左へ走る講師の動きより、前を見すえてちっとも動かない彼女の静かな横顔に興味を奪われていた。

こんな、すてきな娘と知り合えるなんて、

僕は思っていた。

理学は役にも立たないと言うが、少なくとも今この瞬間は、
おれは理学に生かされている。


恍惚と妄想にくれた一時間三十分の後、僕はしばらく、彼女の残り香から離れられずに、講義室でゆっくりとノートを片付けていた。

同じ授業を取ってたなんて、何で今まで気づかなかったんだろう。

あの子、ずいぶん窓側に座ってたな。
次は、僕も、窓側に座っていよう。

そんなことを、とりとめもなく考えているうちに、ふと、後ろから人の気配が近づいてくるのを感じた。誰か、女の人が、講義室の後ろの入り口からこちらに向かって、真っ直ぐに、しかし、驚くほどゆっくりと、進んでくる。

間違いない。

間違うはずもない。

このヒールの響き。

長い足の扱いに困るように、乱れがちな靴音のリズム。


ウリ坊のそれではない。

行きずりの街

【今日やったこと】
(注;徹夜明け。)


札幌の街。阿修羅は夜に息づき。
月の明かりすら、忌む。

(己の心の内にとどろくのは、良心の爆音かそれとも機銃掃射か。
太陽を忘れた昼行動物は、人の目の輝きを何より恐れ。その心は凍えるよう。ああ、カラスが泣いている。フクロウの目玉を、食べたのか)

見ず知らずの

大腸菌と

夜を明かした。

今日。

もう何も、考えられない....。


ただ、今朝の太陽が、あまりにまぶしかったから、

みんな、アガロースに、塗ってあげよう。

16時間の眠りを貪って
僕らは灰色の夢を見る。

コロニー・ぽりめらーぜ・ちぇいん・りあくしょん...。
コロニー・ぽりめらーぜ・ちぇいん・りあくしょん...。

ああ、ゲル、作ってねえ。
◇◇◇

NHKの朝ドラ並み。始まるそばから次作予告?

【今日やったこと】
抗体染色

ウェスタン

タンパク作る

三者三様

実験三昧。
◇◇◇


最近、いろいろ、今後書きたい物語のアイデアが浮かんできている。
そのうち、実現しそうにない物を、いくつか。

『名鍬 幸村 (めいしょう ゆきむら)』
歴史物。東北の農民が手に入れた一本の鍬 (くわ) 。実はこの鍬は大阪夏の陣で討ち死にした
大阪方の猛将・真田幸村の槍を打ち直したものだった。農民が悪漢に襲われたとき、目を閉じて精神を鎮めれば、たちまち幸村の霊が宿り、鍬は踊り、悪漢は、ばったばったとなぎ倒される。それに目を付けたのは徳川の時代に歯がゆい思いをしていた、奥州の伊達政宗。彼は農民を刺客として、時の将軍秀次の暗殺に差し向けるが...。

ヒロインは、鍬と同じ時期に村に現れた、若く美しい一人の謎の“いたこ”(東北地方の巫女、シャーマン的存在。青森の恐山に今も多く、死者の霊を呼んで自らに乗り移らせ、その思念を代弁する。これを“神下ろし”または“口寄せ”と言うそうな)。鍬に宿る幸村の霊と会話するには、彼女が“口寄せ”するしかない。彼女は鍬を持つ農民と旅を供にすることになる。

暇なときに下調べはしたけど、どこまでやれるか自信ない。
まあ、そのうち。


『僕の彼女が転換します。』
どこかで聞いたようなタイトル。でも、全く関係なし。
1年間の交際の後、彼女が“僕”に告白した。『私、男になりたいの...。』

彼女は僕とつきあう前、自分は心は男で体は女だと思っていたのだが、
彼を好きになることで混乱し、しばらくは、女として振る舞っていたのだという。
しかし、やはり、自分は内心、男のようだという。
「だから、私...、いや、おれは戻りたいんだ、本来、あるべき姿に。」

“僕”はそれでも、“彼女”を愛し続けられるのか?
“僕ら”、の至った結論とは?

性同一性障害の人が、必ずしも、同姓を好むとはいえないよな、と言う発想から。
障害じゃなくっても、男好きな男はテレビにたくさん、溢れているし
(すごい時代になった) 。

荒唐無稽も甚だしいけど、書くことで、意外に哲学的な答えを得られそう。
でも、なんか設定が複雑すぎて、全く自信なし。たぶん、無理。
同一性障害について、勉強しなきゃいけないだろうし。
こんなわたくしの作品とはいえ、あんまり失礼なこと、書けないからねえ。


『彼氏アレルギー』
最近、手がかぶれると思ったら、“彼氏アレルギー”だった!

手もつなげない、キスなどもってのほか。

天才(自称)免疫学者の父、臨床医の、その“不肖”な弟子の協力をあおぎ、
高校二年生の彼女は、花粉症の治療法“感作療法”のスペシャルな期間短縮改変型によって、彼氏アレルギーの克服に乗り出すのだが...。卒業し、第二ボタンをもらうまでに、病気は治るのか?

極めて馬鹿な設定。こないだもブログに書いた、
「つながないことの不安」を思いっきり、かき立ててやろうという、
意地悪な発想に基づく。

意外と乗り気。でも、そこまで暇じゃない。



まあ、こんな感じです。
たぶんこれらは、書かないです。

書いたとしても、だいぶ後、かな。
いや、どうだろう、意外と書くのかも。

さあ...。予定は未定。やっぱり

共作してくれる方、大募集。もしいたら。
たぶん、いないと思うけど。