2007-10-03

お魚くわえて

【今日やったこと】
タンパク精製。

タンパク精製って、なんとなく、低温室に閉じこもって、寒さに震えながらやるもの、
ってイメージがあったが、今回はぜんぜん室温。

扱うタンパクが、変性条件下で取り扱うもののため、
そもそも失活している。

でも、濃縮や、精製そのものにも、やたら時間がかかる上に、まとまった待ち時間が無かったりして、一日中立ちっぱなし。

足の裏が痛い。

◇◇◇

いつかやると思っていた失敗を、ついにしてしまった。

『財布を忘れて、愉快な...』である。


私は大抵、日曜日に、その週に使う食材を買うために近所のスーパーに行く。

一週間に使う食材、というと、結構な量を買いそうだが、そもそも、平日はまともな料理をする暇がほとんど無いため、それにかまけて、テキトーなものを食べてしまうことが多い。

それゆえ、一週間の食材など、たかが知れている。金額にして、1-2千円くらいか。

ところが、この1-2千円というのが、微妙な数字なのである。


これは私の昔からのこだわりなのだが、“余計な金を持たない”という、妙な主義がある。

一度に金を下ろすのは大抵3000円。これだけあれば、2-3日は持つからだ。そのため、私の財布は、何か大きな予定でもない限り、一万円札を、知らない。

たまに予定があって、5千円でも下ろそうものなら、預金通帳に記帳した両親がびっくりたまげて(通帳は実家に置いたままなのだ)、わざわざ電話をよこすほどである。

いつも三千円ポッキリしか下ろさない自分を、常々からかっておきながら、いざとなるとこうなのだから、めんどくさい両親だ。

その都度、振り込め詐欺などに騙し取られたわけではないことを、説明しなくてはならない。

この息子には、信用が、無いのか。


それはさておき、
そんなわけで、私の財布には、多くて3千円程度の金しか、入っていないのだ。

つまり、である。

もし、日曜日に、お金を下ろさずに、スーパーに行ってしまうと、その前日などに何かを買っていて、金額が減っていた場合には、一週間の食材を買うには、お金が足りなくなる。

私が、やってしまったのは、まさにこれだった。

いつものように、あれを買い、これを買い、さらに、米が切れていたのを思い出して、米まで買い(運が悪いとしか言いようが無い) 、レジに並んで、おばちゃんが、バーコードを読んでいるさまを横目に、財布の中を見れば、あら不思議。千円くらいしか、入ってないのである。

はっとあわてて、レジの小計を見ると、まさに、千円から千二百五十円、千五百円...、と移り変わって行く、さなかであった。

千二百五十円なら、まだ小銭で何とかなるかも、という希望が持てる。しかし、千五百円では無理である。

その刹那に襲ってきた、脱力感、無力感。

全身の血が引いていく感覚。

腋の下を冷や汗が走っていく。


どうしよう。

値段はどんどんつりあがって行く。

何とかしなければならない。


わたしはとりあえず、

「しまった」

と言ってみた。

しかし、手馴れたおばちゃんはもはや、レジスターの一部と化しており、そんな私の言葉など、届かない。

右から左へ、どんどん商品は移っていく。

ああ、もうレジが終わる。


そこで、もう一度、今度はもう少しはっきりと、

「あの、すいません...」

と切り出してみた。

おばちゃんに内蔵された、レジスター・モードのスイッチが、そこでようやく切れたらしく、レジのおばちゃんは、斜めの姿勢のまま、首だけを向けて、こちらを仰いだ。

今だ。

私は間髪入れず、

「お金を下ろすのを忘れてしまって...。これ、返してきます」

と言った。

おばちゃんにとってはよほど想定外の出来事だったらしく、目をまん丸にしてこちらを見た。

マニュアルに従って動く何がしかが、予想外の事態に対応するためには、『危機管理マニュアル』をインストールする必要がある。


長い沈黙。(おそらく“再起動”)

おばちゃんは、電気の切れたマシーンさながら、ぽかんとして、こちらを見ていた。


永遠にも近い時間が経過したと思われる。

やがて、おばちゃんは、はっと、正気を取りもどし、

「え、あ、何? これ、全部返すんですか」

明らかに、おばちゃんのほうも、あわてていた。


「はい、ぜんぶ...。お願いします」

いまさら、持ち金に合わせて、一部返却など、嫌だった。とにかく、一秒でも早く、ここから、立ち去りたかった。

おばちゃんは、しばらく右往左往した後、近くにいた若い男の店員さんに声をかけ、レジの記録を消す作業をやってもらった。

私は、成す術も無く、かといって、そそくさと帰るのも気が引けて、その作業をじっと見ていたのだが、店員さんは、そんな所在無げな私に気づくと、気を使って、

「あ、いいですよ、あとやっておきますんで」

と言ってくれた。とはいえ、私は無駄に律儀な人間であるので、せめて、その店員さんの未知の作業が一息つくまで、その場に突っ立って、見届けた。

その後、私は逃げるようにして店を出た。

もはや、金を下ろして、再びあのスーパーに行く気はしなかった。
自炊はあきらめた。


その日は、出来合いの、コンビニのパンだったことは、言うまでも無い。

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みんなが笑ってる (心の中で)。お日様も笑ってる(私の中で)。

ルールルルッルルー (何が楽しいの?)


今日もいい天気。

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