インキュベーターにうなぎの血球がほったらかしになっているのを見つけ、
顕微鏡でのぞいてみたら、まだ生きているようだった
先輩に聞いたら、好きにしていいということなので、
白血球を刺激する物質をたんまり入れた、“だいぶ刺激的な培地”で
しばらく飼ってみることにした。
コンタミしなければ、そして、運がよければ、うなぎの培養細胞が、できるかもねえ。
(宝くじに当たるようなもんだけど)
なんたって、今いるところは医学部なので、
周りにいるのはお医者さん、あるいは、検査技師さん、看護婦さんの卵など、医療関係者にあふれている。
そして、もちろん、人間のサンプルを使った実験も行われているわけで、
そのつど交わされる会話が、
「血ぃ、ちょうだい」
「いいよ」
道端で聞いたら、失神してしまいそう。
聞くと、実験向きの血を持つ人、というのがやはりいるそうで、
その人のサンプルだと、とてもきれいに結果が出る、ということがあるそうだ。
ゆえに、そういう人は、頻繁に、血を抜かれることが多くなる。
(もちろん、都合のいい血液だけ使っても実験にならないので、いろんな人から抜くことにはなるのだが、いい血液を持っている人は、最優先だ)
これを書いている今も、隣の部屋で、後輩が“血祭り”にあげられている。
でも、普段一緒に研究室でしゃべっている人が、採血管を持って、採血しているところを見ると、ちょっと新鮮な感動を覚えてしまう。
後ろの席のおじ様が、実は採血のスペシャリストだったり、
隣の席の後輩が放射線技師だったり。
じゃあ、自分は...。ちょっと考えちゃうよねえ。
せめて、研究のプロには、なんないと。
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