2007-11-21

こつかつこつ

【今日やったこと】
モノクロのスクリーニングで使う抗原が、
なんだか少し、足りなさそうだったので、追加して精製。

その待ち時間の間に、今度研究室で飼う、ウナギの飼い方について
近所の専門家の先生にお話を伺いに行った。

外に出る度、寒い。

昼間でも、道路は、溶けない。

かちかちのつるつる。

◇◇◇


モエレ沼での、遭難未遂事件から6時間ほど前、
自分は、靴を買おうと、靴屋にいた。

北海道の大地はすでに、薄い氷と、踏み固められた堅い雪に覆われ始めており、
足の先から頭のてっぺんまで、寒い。

とくに、自分が今履いている靴は、明らかに夏靴で、通気性が抜群によい。

夏に、それまで履いていた靴が壊れたので、近所のスポーツ用品店であわてて買ったためだ。(どっかのメーカーのアウトレットもの。)

形は、コンバースのスニーカーと同じ。
いわゆる、「ズック靴」と言うやつだ。丈夫な布製ではあるが、底が薄い。本当に寒い日などは、まるで、コンクリートの上を、地下足袋で歩いているかのように、冷気が直に足の裏に伝わってくる。

自分は車を持っていないため、土日に出かけるとなると、とにかく歩くしかなく、靴底の減りは激しい。さらに、前述の「徘徊」癖があるために、必要以上に靴に負担をかけている。

事実、平均 3-4ヶ月に一遍は靴を変えなくてはならない。そのくらいたつと、靴底の溝は所々消えているし、表側も、小指と親指の付け根の二カ所に、穴が開いていることが多い。

まだ、履けなくなったわけではないのだが、さすがに、靴の穴から、靴下の色が見えているのもみっともないので、そうなったら買い換えることにしている。
(私にも、その程度の自意識はある)

そんなわけだから、今回の夏靴も、本格的に冬になる前に壊れるだろうと思っていた。
同じ型のコンバースの靴は、もう何回も買ったが、必ず、3ヶ月ポッキリで壊れるからだ。

(コンバースならまだしも、高校時代、血迷って買ったアディダスの9000円前後のスニーカーも、3ヶ月と持たなかった。私はあれ以来、二度とアディダスは買わないと決めている。足の形も合わないし)

しかし、今回の夏靴はなかなかしぶとく、買ってから少なくとも4ヶ月たつが、靴底がややすり減るのみで、表面に穴が開くような事態には至っていない。

ゆえに、この冬将軍の中においても、私はまだ、夏靴で通学していた。

しかし、実際問題、これでは、冷えるし、滑るしで、たまったものではない。
そのうちけがするか、風邪引くか、いずれにしろ、損するだけだ。


そこで、今よりもうちょっと通気性が悪い靴を買おうと、靴屋に行ったわけだ。

私には、小さな企みがあった。私は、前述の通り、新しく靴を買ったら、どうせ穴が開くまで履き続ける。だから、ちょっと高くても長く履ける、革靴も、今回は見てみようと考えていた。

実は、スーツを着るときのような"フォーマル"ではない格好 ("カジュアル"ってやつか?) のために、革靴を買ったことは、これまで無かった。

草履のような、スニーカーの履き心地しか知らない人間にとって、フォーマルな革靴は、どうにもこうにも歩きにくく、歩いているうちに、カッタンコットン、前にのめったり、後ろにのめったりしているようで、ゼンマイ仕掛けのロボットになったような気がして、好きになれなかった。だから、靴の種類を問わず、革靴というもの全体に、私は嫌悪感を感じている。そもそも、歩きにくい靴なんて、その存在理由を疑ってしまう。

しかし、そんな私も、この北の地の凍てつく寒さには勝てず、できるだけ風通しの悪いものを追い求めるあまり、いつもは素通りしている革靴のコーナーも、いつになく、まじまじと、じっくり見ていったのだった。

そして、私は、ここに至り、一つの事実を発見した。

世の中には、スニーカーみたいな革靴も、あるのだ。

いままで、25年も生きてきて、この事実を、知らなかった。スニーカーと言えば、ビニールの親戚みたいな材質ものか、ズック地のものか、そのくらいしかないものと思っていた。そして革靴と言えば、あの歩きにくい、フォーマルなやつ (あるいは、私には縁遠い、一途にファッショナブルなもの) くらいしかないと思っていた。

まさか、こんな靴があるなんて!

それは、またしても、よくわからないメーカーのものではあったが、値段は4000円程度だった。本当に皮か?そもそも革製品に縁のない私にそんなことはわからないが、なんだか通気性は悪そうなので、だめでもともと、買うことにした。

モエレ沼に行く前に、実際履いてみると、革靴のご多分に漏れず、カッタンコットン、ゼンマイロボットの歩行感がある。でも、そこはスニーカーで、ちょっとの散歩の間に、何となく足になじんできた。この程度なら、すぐに慣れそうだ。新しい、徘徊の相棒の誕生だ。

靴が、アスファルトの上で、歩く度、乾いた音を立てる。
タップダンスのような、その音を聞きながら、なんだか今頃、
やっと人並みな大人に近づけたような気がした。

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