2008-03-20

再びジャズ、しているべ

【今日やったこと】

街へ。
最近どうしても、
ジャズが聴きたくなって

しばらく買っていなかった
マイルス・デイヴィスを買いにブックオフへ。
マイルスは、昔人にもらって聞いたCDの『So What』と言う曲があまり印象が強すぎて、時々禁断症状のように聞きたくなるのだが、そのCDを自分のつまらない見栄のため人に呉れてやってからは、聞きたくても聞けない状態でいた。

今回買ったCDにも、同じ曲は収録されていたが、以前の物とはバージョンが違うため ("take" というのか?;後で聞いた話だと、以前の物はたしか“Kind of Blue”と言うアルバムで『名盤』と言われていたものらしい。あれだけは、人にあげるんじゃなかった)同じ曲でも、全く雰囲気が違っていた。

でも、そこがジャズのおもしろいところで(と、勝手に思っているのだが)前に聴いた曲の、似たようなメロディーが、全く違うテンポと、テンションで演奏されており、まるで違う曲のように聞こえ、それでいて、前の曲を彷彿とさせる共通項を確かに感じてしまう。

同じような情景、同じような出来事または同じようなエピソード、記憶であっても、時とともに、あるいは自分の積み重ねた経験、体験によって次第に色を変えていくように、Takeが違うと、同じ曲に再びいのちが吹き込まれ、再生され、セピア色の思い出が、燃え立つ赤に変わったり、青い冷静に沈んだり、土色に淀んだりするのである。

逃がした魚は大きいので、前のTakeの方が良かった気がするが、
前の物を彷彿とさせ、発展している気がするだけ、今のものでも満足している。

また、ついでといっては失礼だが、同時代に活躍したジャズ・ピアニストで
素人のわたくしでも名前は聞いたことのある、ビル・エバンスのCDも買った(二つ合わせて、2000円しなかった。古い演奏は、安くて良い)。

これは、勉強がてら買った物で、以前には全く聞いたことがなかったのだが、ジャケットの、ピアノに向かうエバンスの後ろ姿と、べつなジャケットの、七三分けにした、毅然とした数学者のような姿に、感銘を覚え、いわゆる“ジャケ買い”してしまった(悪い癖だ)。この人は『ピアノの詩人』と呼ばれているそうで、確かに聞いてみると、洗練された印象は、しなくもない。

とくに、これはジャズに限ったことでもないのだが、おもしろいと思ったのが演奏家による曲の違い。クラシックなどでも、同じ曲で、指揮者ごとにこう違う、ああ違うと云々言う人がいるが、基本的に楽譜に忠実なクラシックと違い、即興的な要素の強いジャズでは、この違いは、わかりやすいほど大きい。

良い例が、今回買ったCD冒頭の『枯葉 (Autumn leaves)』。これは、言わずとしれたジャズの名曲で、誰もが一度は、どこかで聞いている、どこまでも切ない曲。

太陽のまぶしい季節、世界中全ての生き物が浮かれている中で、好きだった人に振られ、そのことによって、一足早く秋の始まりを感じた経験のある人には、余計に身にしみる曲。道ばたに積もった枯葉を、足で蹴飛ばしながら、何度思い浮かべたことか。

この曲は名曲なだけあって、有名なジャズの演奏家は、必ず一度は演奏している。
自分が初めて買ったのは、演奏家は忘れたがクラリネットの曲で、枯葉の茶色を連想させる円く、くぐもった音色で、余計に切なかった記憶がある。

エバンスの枯葉は、それに比べると、ずっと洗練された印象。
全4分の曲のうち、有名なメロディーは最初と最後の1分で終わってしまい、途中に
静かで長い間奏が入る。しかし、その静けさを破って、再びハイテンポな主題が帰ってきたときには、すでに枯葉が燃え上がっているのを感じるのだ。
エバンスの枯葉は故に、だいぶ情熱的だと感じた。
少なくとも、期待した (?) 失恋の曲ではないのだが、これはこれで、かっこいい。
ブエノスアイレスあたりの、秋を連想させる。

元々ジャズは、ウイスキーをおいしく飲みたくて聞き始めたのだが、
実際に、この二つは本当に、よく合う。

静かな夜にジャズを隣の部屋の人に怒られないように低くかけて、
少しだけウイスキーを傾け
本を読んでいるときが、一番落ち着くことに最近気づいた。

25歳の趣味じゃねえ、と言われたさ。

◇◇◇

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