2007-08-22

その名はナナコ

【今日やったこと】
新しい実験系を立ち上げようと思って、大量のプライマーを発注したら、
ものすごい勘違いをしていたことがわかって、1/3が無駄になったことがわかった。

でも、業者さんが何かトラブルを起こしたらしく、納期に間に合わない、という電話が入り、無駄になった1/3のうち、いくつかについては取り消してもらえた。

ラッキーといえばラッキー。でも、その分実験が遅れる...。
◇◇◇


もうすぐ遅い夏休みをとるつもりであり、どうしても、キリのいいところまでは実験を進めておきたいので、ここ二三日は、無理やりやる気を振り絞っている。

今日も、そんな必要は無いのかもしれないが、
深夜まで実験する腹をくくったので、セブンイレブンに出かけ、晩飯を買ってきた。

最近のコンビニは便利なもので、大概のところで、何らかの電子マネーが使える (北海道限定の、『セイコーマート』は例外)。

今日行ったセブンイレブンも、最近になってナナコという電子マネーを独自に始めて、キリンのお嬢さん (たぶん。だって、名前に“コ”がつくから) がCMをやっておられる。

私は根っからのあたらし物好きであり、特にこう言う“テクノロジイ”には眼がないので、ナナコは登場直後のキャンペーン期間中に、偶然立ち寄ったセブンイレブンで、衝動的に加入してしまった。

どうやら、何人加入させよ、といったノルマが店ごとにあるらしく、私のあまりの衝動的な加入ぶりに店長は興奮し、
『何かあったら、いつでもご相談ください!』
と、気恥ずかしいほど親切な言葉を送ってくださった。

しかし、いかに私が新し物好きといっても、さすがにこれはお金を預けるものであり、かなりの警戒感がある。したがって、はじめはとりあえず1000円だけ入れて、様子を見ることにした。

生まれて始めて鏡を見た、野生のチンパンジーでも、ここまであからさまな警戒はしないであろう。


そうして、いよいよ、そのナナコを使う段になった。しかし、いかんせん、“始めて” というものはとにかく嫌なもので、全ての動作がぎこちなく、わずらわしく、気恥ずかしい。レジの前に立ち、いつものように、メロンパンと、何らかの脂ぎったパンと、野菜ジュースを置くと、店員さんがせわしなく、商品を手に取り、せっせせっせとバーコードを読み取り始める。

105円、255円, 360円...。作業が進み、レジのカウントはぐんぐんあがって行くのに、1000円の入ったナナコを取り出すタイミングがわからない。気づいたころには、店員さんはおもむろに袋に物を詰め込み始め、まだ金ださねーのかよ、といった顔で、上目遣いに、こちらをちらちら伺っている。

結局、私はありもしない男らしさを発揮し、つりなんて怖くねーぜ、とばかりに、1000円札をひょいと指し出し、後はそっぽを向いていた。

おつりを出さないナナコに加入していながら、余計なつりをもらってしまった。

その後も、同じような体験を三度と無く繰り返した。時にはちゃんと“これ使いたいんですけど”と言ったこともあったが、そういうときに限って、店員さんのほうが慣れておらず、あたふたして、かえって面倒になったことも多々あった。


しかし我々は人間であり、テクノロジイなぞにまけるものかと、無駄な負けじ魂を燃やし、工夫に工夫を重ねるものである。


かく言う私も、いまでは、ナナコをほぼ確実に使う、“テクニック”を身に着けて居る。

何のことは無い。レジに行く前に、ナナコを財布から出しておき、
いかにも『わたしこれ、つかいたいのですよ』という、無言のアピールをしておけばいいのである。

すると店員さんも、それを以心伝心感じ取って、何かしらのボタンをぽちっと押して、レジをナナコモードへ切り替えてくれる。

後はカードをかざし、ジャリーンと鳴らせば、もうそれで、あなたも近代的消費購買者の仲間入りである。


最近の日本人は、昔に比べて会話が減ったといわれる。

確かに、自分の小さいころを思い返してみても、小さな商店で買い物する時には、必ず店のおばちゃんと二言三言くらいの会話はしたものだ。

今のコンビニのレジでは、その二言三言の会話すら欠如していると、昔、どこぞの評論家がおっしゃっていた。

ナナコを手に入れて、その結果は、結局、無言の“アイコンタクト”だった。お金を受け渡しする際の、心ときめく、かすかなふれあいすら、我々はついに失ってしまった (残念な場合だけとも限らないが) 。人間はいよいよ進歩しているのか、劣化しているのかわからない。

そのうち、眼だけで、レジが済んだらいいのに。

それから、ナナコの残金が、もっと簡単にわかるようにしてほしいです。

テクノロジイの未来に、終わりは無い。

次は、空港の、チケットレスサービスを試してみる予定。しくじったら、大きいよなあ。

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