2008-03-21

山之口貘の詩集を買った。




最近はまっている詩人 山之口 貘 (やまのぐち ばく)の
はまっている詩。
詩集 『思弁の苑』より。

せっかく女をつかんだのに、結局振り回して、くたばらせて、
その上投げつけてしまう。

結局、彼が強く求めていたのは

『僕も女が掴めるという、人並みなこと』

だったのだ。

この詩人は、とても貧乏な詩人で、
晩年、胃ガンで入院した際も、親交のあった他の詩人達がカンパして
ようやく入院させたほど。

でもこの人の、家族に対する、特に
娘のミミコに対する目は、とても暖か。

そして、一方で前期の作品 (結婚前の作品) の多くは
こういう、“人並み”を求める旅路のようで、
なんだか共感できる部分が多い。

しかも、恵まれていないのに、
詩は明るい。悲壮な詩は、ほとんど無い。

畳という詩も秀逸。
畳の上に、女房となる女が現れて、タンスが現れて、ちゃぶ台が現れて...、と、
視点を変えてくれる作品。

それから、『猫』
けっ飛ばされた猫が、飛翔して
神の座にまで至り
そしてしなやかに着地する様子が描かれる。

どれもこれも短くて、詩の総量も少ないけれど
その分、無駄のない、隙のない詩を書く人だと思います。


ちょっとおすすめです。

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