2008-04-07

フライドポテト

フライドポテトを食べていると、

自分が馬にでもなった気がしてくる。

あの細長くてひょろひょろしたものを、口から何本もはみ出させ、それを次第に舌と唇を上手に使って口の中にたぐり込んでいく作業は、飼い葉を食べる、馬のそれに似ている。

ぼくは、ハンバーガーを食べるときには野人であり、
フライドポテトを食べるときには馬になり
コーヒーをコップで飲む段になって初めて、文化的な人間の香りを漂わせる。

けんくんたいへんだよね、いつもいそがいしいもの
ああ、おれだけきょうしごとなんだ
隣の二人組が話しをしている。
40人もいるのに?あいつらみんなやすみなの?ところで、やすみってなんじまでなの?
ああ、もうじかんだ

そう言うと、男は立ち上がり、つられて女も立ち上がった。

彼らは、初め馬であり
そして、一時は野人にもなったようだが、
最後には文化人になって、時計を見ることを思い出したようだった。

女は使用した机の上を、ポテトに付いてきた紙ナプキンでさっと拭くと、
男とともに悠々と自動扉をくぐって行った。

彼らを何となく見送った後、
目を正面に戻すと、
向こうの席の知らないお兄さんと不意に目があって、
彼がまだ野人であったようだから
ぼくは急いで馬に戻った

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