超寝坊。
だって寝たの、朝方。
そうやって、がんばって撒いた大腸菌は
今日は広いLB プレートの片隅に
控えめに小さなコロニーを作ってくれた。
でも、たった二個。
コロピーする気も、起きない。
作戦、立てなおそ。
最近研究室に、新入生が入って、
その多くが女の人だったので、
なんだか全体がきゃっきゃしている。
自分はそういうのに入っていく方ではないので、
若いなあと思いながら、
実験室の片隅でちまちまとプレートをつついている。
よく考えたら、みんな、自分の妹世代より
年下なのだ。
家族という物は、何となく年代の指標となる物のようで、
家族で一番年下の、妹より下、となると、
もう自分の感覚では計りきれない領域に入ってしまった感がある。
今までずっと見てきた、年上という物と違い、
年下という物は自分が生まれたときには、いなかった人間なのだから、
年上よりも、より、未知の世代という印象がある。
何を考えているのか、どんな物が好きなのか、
どういう言葉を使うのか。
その全てに未知の部分があって、年上達はそれを知らないことの
怖さに、おののいてしまう。
今日研究室に、誰かの買ってきた桜餅がおいてあった。
自由に食べて良いと言うことなので、実験の合間に一人で取って食べていたら、
部屋の向こうで、新入生も集まって食べていた。
皆一様に、おいしそうに食べている。
この時期の桜餅でも、おいしいものはおいしいのだ。
僕は少なくとも、桜餅のおいしさは、世代を超えて受け継がれていることを知って
安心して泳動に向かった。
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