2008-04-20

恋人はペリカン

最近、休みの日は、愛用の安い万年筆(ペリカン)と一緒に過ごすことが増えてきた。

コンビニで買った一冊のリングノートに
思い浮かぶ言葉を、物語をひたすら羅列していく。

紡ぐ。
そんな動詞が、本当によく似合う作業だと思う。

なんの方向性もない、綿くずの集まりを寄り合わせ
一定のねじれと向きを持った糸に加工する作業。

物語を書くのも、それにやはり似ている。

自分の場合には、紡がれた糸が、ちっともできが良くなくて、
所々糸が太くなったり細くなったりしてしまっているが
上手な人の紡いだ物は、その太さが一定で、
初めから、終わりまで、仕上がりが安定していることが多い。

最近読んだ本で、そう言った安定した、落ち着いた雰囲気を感じたのは

堀江敏幸さんという作家の、『雪沼とその周辺』(新潮文庫)。

群像劇的な短編集だが、全体が緩く繋がっていて、
そしてそこに流れる時間もどこか共有されている。

枯れた、しかしそれでいて、生命力を失ったわけではない、
大人の空気。

この方は決して売れっ子小説家ではないと思うが、それでも
この人しか書けない空気を持っている。

最近読んだ本の中で、1,2のお気に入り。

ちなみに、今試しに書いているのは、
Oさわ氏のリクエストがあった、あれ。

今は、『僕』と『彼女』の間の
エピソードを書きためている段階。

自分の経験の引き出しが少ないので、
案の定、苦労しております。

前半コミカルに
後半シリアスに

どうやらそんな展開になりそう。

まあ、気長に待って。
お宅のお子さんよりは、早く生まれるとは思うから。

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