2008-04-17

落下

空白になった心に

去来するものは

いつかの、食事の風景。

その時の表情。

浮かない顔

その意味を、深く考える勇気も持たずに

僕はその瞬間に酔いしれ、

笑い、はしゃぎ、君を見てなどいなかった。

僕はあのとき
自分のために恋をしていた。

そこに本当に、愛情があったのなら、
あの浮かない表情の裏側にあるものを
素直に聞き出す、実直な気持ちを
もっと持っていても、おかしくなかったはずだ。

僕にはそれができなかった。

できなかったから、
その結果として
君が正直に事実を突きつけてくれるまで、
僕は至らぬ夢を見て
それを次第にふくらませ
生活に、支障が出ていたんだ。

無くした後の
自分の感じた
身の軽さに
今まで背負っていた者の
重さと、暖かさを
感じて

いつもより、早く起きて
まだ明け方の太陽が顔を出したか出さないかのうちに学校へ行き
そうして、仕事を始めたんだ。

一日は、普通に過ぎて
普通に暮れ
普通に夜になり

世界の運行に、僕は必要ないと、確信するに至って、
昨日の僕が、7階のベランダから、笑って宙へ舞うのを見た。

あんまり楽しそうだったので、僕も一緒に行こうか考えたけれど
君へ、質問すらできなかった
意気地無しの僕だから

ベランダから、静かに、
夜景を見るだけで
その夜は、そのまま、眠ってしまった。

階下には落っこちた僕のトマトのような血しぶきが
鮮やかに広がっていた。

暗くて、良くは見えなかったけれど
僕は砕けた頭のまま、それでも笑っていたように見えた。

0 件のコメント:

コメントを投稿