2008-04-03

同道

生まれたときは無色透明だったはずの
世界のあらゆる事物に

生きていくことでいろいろな色が付き、
曰くが付き、まどろっこしい言い訳が付き
意味が付き、理由が付き、トラウマや、アレルギーや
その他のくしゃみのような物の原因にされて

コンビニでメロンパン一個買うだけでも、
それにまつわる幾人かの人の顔を思い出し
思わずにやけて見たりする

メロンパンに封じ込められた、思い出の対象者は
さぞ、迷惑だろうにとは、思いながらも

僕は甘すぎるメロンパンをかじりながら、なおもその中に
ほのかに苦い味を探そうとしている

もっといろいろな臭いのするコーヒーは
すでにすっかり冷えてしまって

もっともっとくどい味のするウィスキーのボトルの中には
忘れたい思い出たちが、その褐色の瓶の向こうから、
こっちを見て笑っている

それを飲む度に僕は、こんな人たちを、こんな大好きな物に
封じ込めてしまったことを、心から後悔し
それによって、また一つ味わいが増えてしまったことに、また後悔するのだ

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